ハマグリの吸い口の作り方
ハマグリの吸い口ということで、

このハマグリを使うお吸い物を作っていくんですが、ハマグリの吸い口を簡単に作るんだったら、この殻ごと鍋に入れまして、火にかけて殻が開くのを待ってっていう、簡単に作ることもできるんですが、たまにはね、おいしいハマグリの吸い口を作るにはどうしたらいいのかということで、紹介していこうかなと。
まずはね、こちら、ハマグリの吸い口を作る際は、なんとなくね、殻ごと鍋に入れて、ぐつぐつ火を入れて、ハマグリが開くのを待ってっていうね、そんなイメージがあるかと思うんですが、

こういった形でね、ハマグリを開いてから火を入れてお吸い物にしていきますよと。

なぜこんなことをするのかと言いますと、ハマグリのね、吸い口っていうのはアサリだとかシジミのね、汁物と違って身を楽しむっていう要素が強いので、身に火を入れる時間っていうのをなるべく短くしたい。
貝の身を楽しむための調理法
貝というのは火を入れるとね、どんどんどんどん固くなっていくので、身の美味しさをしっかり残しつつ、出汁にもね、貝の旨味を出しつつっていうね、そういった作り方をしたいので、最初に貝を剥いてから吸い口にしていくと。ただただね、美味しい汁を作るんであれば、貝殻ごと水につけてグツグツグツグツ火にかけて、十分に貝の旨味を汁に引き出せば良いんですが、ハマグリの場合は、この身をね、そこまで固くしたくないと。
ハマグリの剥き方と掃除の方法
ハマグリの剥き方なんですけれど、貝殻がね、ビタッと合わさっていて、通常ね、ホッキ貝なんかは、ここにね、

水管を出し入れする隙間があるんで、ここにちょっと隙間があるので、その隙間からこう貝剥きを差し込んでいくんですが、ハマグリの場合はその隙間がないと。
なので貝剥きと軍手を使って、貝剥きをこの貝の継ぎ目に合わせて、

握り込むようにして貝を剥いていくと。
四隅に貝柱がありますので、

この貝柱を外していくと。当然、この生きたハマグリっていうのは、海水を貝殻の中に蓄えておりますので、剥きますと海水が多少出てくるんですが、そこは気にせず、まずはハマグリを剥くと。
海水と身に分かれますので、先にね、身だけ取り出しておく。残った汁を見るとわかるように、

海水と、貝が吐き出した汁っていうのかな、多少、貝の旨味をこちらの海水に溶け出しておりますので、こちらの汁も使ってハマグリの吸い口を作っていく。

海水を鍋にあけまして、続いてこの貝の身の方を掃除していく。
ハマグリの貝の特徴
この貝の身に関してなんですけれど、まず、ハマグリはね、

この貝柱に火を通しすぎると、ここが非常に固くなって口に残ると、貝柱を先に外していきます。

手で簡単にね、外せますので、こう作業してるうちにね、どんどんどんどん貝からこう、水分が出てきますので、その水分をこっちの鍋にしっかりね、落とすように。
ハマグリのエラの部分の掃除方法
続いて、ハマグリのね、エラの部分を掃除していくと、紐にくっついてるっていうのかな。この紐に薄い膜がありまして、骨抜きのなどを使ってね、

こういった形で引き離すと、ハマグリのエラがこういった形で

出てきますので、この膜とこのハマグリのエラを取り除いていくと。
裏表、両サイドにこの膜とエラがついておりますので、この掃除した膜なんかからも出汁が出ますので、どんどん鍋の中に落としていってくださいと。
貝殻ごと火にかければ、こんなめんどくさいことしなくていいんですけれど、身のふっくら感を残した吸い口を作ろうと思ったら、こういった細かい作業が必要になってきますね。たまにね、紐にセロファンみたいなね、透明の膜が残ることがあるので、強い膜が残っていたら、その膜も掃除してください。
続いてね、この紐と身を取り分けてしまいますと。

身は身、紐は紐で火を入れていく。

これね、身は火を入れていく。ゆっくり火を入れていくんですが、ヒモに関しては火を強めに入れてもあまり固くならない。しっかり出汁の出る部分なので、職人さんによってはこのヒモを残した形、

こういった形で盛り付けたいなんて方もいらっしゃると思うので、そういった場合はヒモを外さない方がいいんですけれど、僕はヒモと身を分けて盛り付けても良いかなと思っているので、
ヒモはこちらの鍋に最初から入れて、ぐつぐつぐつぐつ強火で火を入れていきます。なのでヒモは出汁を取るのに使うようなイメージですね。
この身の部分、

貝の足の部分と貝柱の部分は

後からゆっくり火を入れまして、アサギだとかシジメはね、もともと貝の身自体が小さいので、この部分にね、強く火を入れてもそこまで固くならないというか、固くてもあまり気にならないという言い方が正しいんですかね。なのでね、ハマグリの場合はこの身の方もしっかりと火を入れて、楽しみたいので、こういった仕込みをすると。
ハマグリの出汁の取り方と火加減

続いてこちらの鍋に水を加えて出汁をひいていくんですが、貝1枚でね、吸い口を1杯作ろうかと思うので、盛り付ける器4杯分の水を加えて火にかけていくと。続きましてこちらの鍋にね、昆布を1片です。

今回は4杯分取るんで、これぐらい加えたらちょうどいいかなと思うんですけれど、昆布を適量加えて、ここから鍋を火にかけると。
昆布の使い方と注意点
昆布を入れているので、中火程度、弱火だとね、沸くまでにあまりに時間がかかるので、中火程度の火加減で、ぐつぐつぐつぐつとさせてください。貝の紐から出たぬめりだとかが、こういった形でね、

アクなんですかね。泡の塊。あまり見たくなってくるので、これはね、後で取り除くんですけれど。あともう一つポイントとしては、昆布は沸騰させるとえぐみが出ますので、沸騰直前でこの昆布を取り除くと、沸騰してきますとこの泡が寄ってきますので、このタイミングでこの泡をすくってしまいますね。

吸い口に関してはね、僕なんかはこのハマグリなんかは白く濁ったね、旨味のしっかり出た出汁が美味しそうに見えるんですけれど、お店によってはね、濁らせずに貝の旨味を取った出汁が美味しいみたいな見た目をね、重視してあまり濁ってない出汁の方がね、綺麗だっていう考え方もあったりするので、もし出汁を濁らせたくない場合は、こんなね、沸騰させずに低温で。出汁を引いていけば、濁りの少ない出汁が引けますので、好みの問題というか、僕はね、見た目以上にしっかりとね、旨味が出た吸い口がいい吸い口だと思っているので、しっかり火を入れてしまうんですけれど、人によってはね、沸騰させないなんて方もいらっしゃいますね。

このままね、ボコボコ沸いたまま2〜3分置いて、ちょっと出汁に濃度をつけていきますね。続いて、ここから貝のヒモを取り出していくと、ヒモに関しては火を入れてもそこまで硬くはならないんですが、あまりね、グツグツグツグツ煮すぎると、ヒモ自体の味も抜けていきますので、この段階でヒモは湯からあげて、

続いてここにね、貝柱と身を入れて、出汁に旨味を加えていくと。で、この柱と身をね、入れる温度なんですけれど、この温度は、大体ね、75℃程度でこちらの身に火を入れて、そうすると身が硬くなりませんので、一度火を止めて温度が下がるのを待つと。
で、72℃まで今温度が下がりましたので、貝柱とハマグリの身を入れていくと。

当然冷たいハマグリを入れたので、69℃まで下がっておりますので、

弱火にかけまして、ここから徐々に温度を上げて、5分ほどこの鍋につけておくと、お店で仕込みをする際はスチコンって言って、温度管理ができる機械に入れてしまうんで、そこまで手間ではないんですけれど、ガスでやる場合は割と気を使う作業になります。

これ、先ほど取り除いた昆布なんですけれど、この昆布からもね、もう少し旨味が出ますので、昆布もこの出汁に戻して、75℃をキープすると。5分ほど経ちましたら、身と貝柱を取り出すと。この段階でね、昆布も取り出してしまうんですが、火が入ってね、身がプクッと膨らんできますので、

この状態になったら、出汁からハマグリをあげると。身に火は入りつつ固くはならないギリギリの温度が75度ですので。

最初に入れたエラなんかも取れてしまうんで、このエラは使いませんので、必要な部分だけ取り出してください。
続いてね、この出汁を濾していくんですが、干す際はね、こういったザルだとか網を使って、そこにね、ペーパーをかませて出汁を起こしてくださいと。

白く濁った美味しそうな出汁ができますので、再び鍋に出汁を戻し入れます。

盛り付けの方法と薬味の選び方
あとはね、盛り付けて汁を張って、ハマグリの吸い口の完成なんですが、まずね、貝殻。

貝殻をよく洗いまして、器に一片入れまして、ハマグリの実ね、そのまま入れてもいいんですけれど、ハマグリの実はこのライン、

このピンクくね、色が変わっている部分。ここが火を通すと硬くなりますので、この部分にこういった形で

縦に包丁を入れて、それから盛り付けるようにすると口当たりが良くなりますので、こんな感じでピンクの部分に包丁目を入れて、

それから貝殻に戻すようにしてください。
ここに先ほど取り出した貝の紐。貝の紐は砂を噛んでいる場合があるので、

この水管の部分はしっかり掃除をしてもらいたいんですが、貝の紐を戻し入れまして、柱を2かけ戻しましたら薬味ですよね。

今回は緑は芽ネギを、黄色で柚子を使おうと思うので、この芽ネギに関しては三つ葉でもいいと思うんですけれど、こちらをあらかじめ切って準備しておくと。
柚子なんかはこういった形で皮を剥きまして、細かく切るだけなんですが、柚子はね、この部分にね、

白い部分が残っていると苦味が出やすいので、皮を厚めに剥くと白い部分が残りますので、この白い部分を薄くこそげて、苦味が入らないようにしてから細かく切って盛り付けに使うと。

ここまで準備しましたら、先ほどの出汁を強火にかけてお酒を少々加えまして、

塩で味を整えて、先ほどの器にこの塩を張ってハマグリの吸い口の完成と。
ハマグリの海水、ハマグリ自身が持っている海水の塩分がね、この出汁には溶け込んでいますので、そこまでね、塩を入れずともしっかり味がのっているかと思うのでここは軽く味を整える程度ね塩。

塩を加えてくださいと。薄口醤油を加えるなんてね方法もあるんですけれど、僕はね、職業上寿司屋なので、寿司屋っていうのはね、どうしても醤油の味付けが多くなるので、なるべく寿司以外のつまみに醤油が合うっていう場合以外は、醤油はなるべく使わないようにしているので、薄口は加えずに仕上げていきますね。この辺は好みで調整してください。
あとね、これ身を入れて75度までしか温度を上げていないので、沸騰させると、多少、

こういったアクが浮くので、このアクはきれいにすくい取ってから、器にこの汁を貼ると。
あとは、先ほどのお椀にこちらの汁を貼りまして、

最後に、めねぎと柚子を盛り付けて、完成と。

せっかく75度で火を入れたのに、ここに沸騰した汁を張ったら、ハマグリが硬くなってしまうんではないかと思われるんですが、75度だとこのハマグリの肝の部分がね若干こうグニッとした感じが残るので、最後この沸騰した地を加えて、中心の温度80度ぐらいまで上げるようなイメージ、そんなイメージで火を入れて吸い口を作っております。
ということで本日はね、ハマグリの吸い口の作り方。簡単に作るんであればね貝殻ごとハマグリを剥かずに貝殻ごと火にドボンと入れて、塩を入れて、酒を入れて、薄口で味をつけて、完成っていうね、そういった簡単な方法もあるんですけれど、たまにはね丁寧な作り方も紹介してみました。