白子とは?
どんなに流通が良くなろうとも、和食の世界では冬にしか食べられない食材が存在します。白子も、もちろんその一つでありまして、白子の季節を待ち望んでいた方も多いのでは無いでしょうか。
イクラにカラスミ、明太子と日本人は魚卵を好む傾向にあり、基本的に魚は雄よりも雌に価値がある事が多いのですが、白子は精巣、つまり雄に価値がある数少ない魚と言う訳です。
皆様白子と言えばクリーミーで濃厚なイメージをお持ちかと思いますが、白子とは魚介類の精巣の総称であり、食用としてはフグの白子、シャケの白子、スケソウダラの白子に真鯛の白子と多くの白子が流通します。
しかしシャケやスケソウダラの白子はコクが無く淡白、トラフグの白子は美味しいけれどもご存知の通り超高級品でして、一般に白子と言えば鱈の白子を指す場合がほとんどです。
鱈の白子には地域名がいくつかありまして、北海道ではタチ、関西では雲子なんて呼ばれておりますが、関東では単に白子と呼ぶ場合がほとんどです。
ちなみに明太子(タラコ)は鱈の卵巣と思っている方が多くいますが、タラコはスケソウダラの卵巣です。鱈の卵巣と言うのは黒い膜に覆われた1kg近い大きな卵巣でして、北海道や北陸以外で食用にされる事は殆どありません。
白子の栄養価
タラコに続き勘違いしている方が多いと感じるのが、白子のカロリーについてです。
白子は高カロリーで太りやすい食材と思われている方が多いですが、白子は100gあたり約75kcalと意外と低カロリーな食材です。
さらにタンパク質やビタミン類を多く含み、リンやカリウムといったミネラルも多く含む低カロリー高タンパクな食材であります。
アンチエイジング、老化防止に効果のある食材なんて紹介もされておりますが、忘れてならないのはコレステロールとプリン体を多く含む食材と言う事です。
尿酸値が気になる方は食べ過ぎには注意しましょう。
それでは白子の下処理の方法からご紹介いたします。
白子の食べ方(下処理の方法)
ここからは白子の下処理についてです。白子はそのままでも食べる事が可能ですし、実際に仕入れてそのまま提供している飲食店も多く見かけますが、下処理をしていない白子は味や食感が全然違いますし、アニサキス(寄生虫)の問題もありますので、しっかりと下処理をすることをオススメします。
それでは白子の下処理についてです。
仕入れた白子は写真のように一つの塊になっているかと思います。大抵の場合、表面が上になって小分けにされていると思いますが、
裏返すと写真のように黒い筋が見えます。この筋を中心に白子はそれぞれが繋がっております。
キッチンバサミや包丁でこの筋を切り離しましょう。
※なおこの筋を深く切り離しすぎると、白子はバラバラになってしまいますので気をつけましょう。
白子には、カラスミ同様に、少なからず、血が入り込んでおります。
血抜きのため、
酒を少し混ぜた冷水に10分程、さらします。
※冷水にさらし過ぎると白子が水っぽくなってしまい、白子特有の濃厚さが失われます。状態を見て、血が少ないようならさらす時間は短縮しましょう。
水に晒した白子は熱湯に通します。
熱湯に通すことでアニサキスの問題を解決出来ますんでね。
鍋にたっぷりのお湯を沸かし、血抜きをした白子を落とします。
さっと箸で混ぜながら10〜30秒ほど火を入れますと、写真の様に白子が少し縮みます。
白子が縮んだら氷水に取り急冷します。
氷水からあげて水気を切れば、白子の下処理が完了です。
全体に張りが出ているのがお分かりいただけますでしょうか?
すぐに使わない場合はこのままタッパーに入れて保存しましょう。
白子ポン酢や、白子天、雲子豆腐など、白子を使った料理は基本的に全てこの下処理をしてから使います。
白子を使う場合は必ずこの下処理をすることをおすすめします。
白子の食べ方
さて、下処理が終わった白子は、そのままでも食べる事が可能です。
下に代表的な食べ方を記しておりますので、参照ください。それぞれの詳しい作り方は別記事にまとめております。
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白子ポン酢
白子ポン酢は白子を最もストレートに味わう食べ方と言えましょう。
白子のクリーミーさとネギの香り、そしてポン酢の酸、そしてもみじおろしの辛味が全体を上手くまとめているTHE・和食という料理です。
作り方は非常にシンプルで、下処理した白子をポン酢で和えるだけです。ポイントは白子の下処理。そして冷蔵庫で白子を良く冷やしておく事。
白子の濃厚さとポン酢のサッパリ感を薬味で引き締めるイメージです。
好みによりけりではありますが、ネギ(アサツキ)ともみじおろしは必須と言えましょう。
白子の天婦羅
こちらは白子ポン酢に並ぶ代表的な食べ方の一つ。白子の天婦羅。下処理した白子に衣をつけて揚げるシンプルな料理です。
ポイントは衣のサクサク感と白子のとろける様な食感の対比。
衣のサクサク感を楽しむには天つゆではなく塩で食べるのがオススメ。
スダチや柑橘などのサッパリ感を加えるのも良いでしょう。
作り方は一般的な天婦羅と変わりありませんが、白子の鮮度が悪いと天婦羅が爆ぜる点と、野菜類の天婦羅よりも少しだけ衣を厚めにするとより美味しく食べる事が出来ましょう。
白子焼き
こちらは白子焼き。あまり一般的ではありませんが、作り方は非常に簡単。漬け時に漬け込む、または、塩をふり焼くだけです。ポイントは酒。焼く際に酒を塗りながら中火で焼く事で香りよく焼く事が出来ます。
中まで熱々に焼き上げる事で、口に入れた際の温度と香りを楽しむ事が出来ます。アクセントに七味やスダチを添えると良いでしょう。
白子のバター焼き(白子のムニエル)
個性的な食材でありながら、淡白な味の白子は洋食にも利用可能です。
こちらは白子のムニエル。白子のクリーミーさとバターの香りは相性が抜群。
ポイントはしっかりと小麦粉を打ち、バターの香りを白子に纏わらせる事。塩味をベースに仕上げております。
こちらも鮮度が悪いと白子がとろけてしまうので、しっかり鮮度の良い白子を準備しましょう。
白子のムニエルはサクサク感こそ天婦羅に劣るものの、バターの香りと白子の食感が他にはない濃厚さを演出してくれる事でしょう。