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新子(小肌)の仕込み方

目次

新子とは

新子の仕込み方

新子とはコハダの子供(幼魚)の事を言う。

あまり知られてはいないが、コハダは出世魚であり、小さい順にシンコ、コハダ、ナカズミ、コノシロと呼び名が変わる。

コハダ 、コノシロは梅雨の時期に子供を産む。その子供が体長3センチ程に成長した物がシンコである。新子が流通する期間は短く6月末~8月上旬まで。

江戸っ子の初物好きは有名な話だが、新子を食べなきゃ夏が始まらないと言う言葉があるほどである。

新子と小肌の大きさの比較

写真は新子と小肌の大きさを比較したもの。(写真のサイズでもシンコにしては大きな方である。)

新子の旬

上記の通り新子の旬は梅雨の終わりから夏。

コハダ自身の成長が早い為、新子と呼べる大きさのコハダはこの期間しか流通しない。

新子の値段

コハダと聞くと一般に、値段が安い魚と言うイメージがある。

コハダは通年で入荷があるが、その値段は安い時で1キロ当たり800円程度、高い時でも1キロ2000円程度である。

しかし新子になるとその値段は一気に跳ね上がる。

具体的な例を出すと、2019年の初物(6月半ば)の値段が1キロ16万円。その後7月中旬までは1キロ2~4万円である。7月下旬になり値段は落ち着いたものの、1キロ1万円と、コハダと比較するとその値段の高さが分かる。

新子の産地

シンコという名を聞いた事がないと言う方も多くいると思われるが、シンコはその殆どが東京の鮨屋で消費される。

その為、新子は東京湾で多く漁獲されると思われがちだが、新子の主な産地は九州、静岡、石川である。

江戸前の新子も流通するが、全体に見るとその量は多くはない。

※新子の産地でありながら、福岡や静岡の鮨店では一度東京に出荷されたものを買い戻しているという話も耳にする。

新子とミョウバン

新子は魚体が小さく鮮度が落ちやすい。

夏場の魚と言うことも重なり、水揚げされてから消費者に届くまでに、身が溶けてしまうことも良くある話である。

そこで身が溶けるのを防ぐために、新子はミョウバン水に付けて出荷される。

※ウニも同様の理由でミョウバンが添加される

このミョウバンには嫌な苦味がある。

ミョウバンの量は漁協によって様々であり、見た目には鮮度が良さそうであるのに、不自然に身が硬く苦味のある新子は、このミョウバンの影響と考えられる。

新子の仕込み方

シンコの仕込み方は基本的にコハダと同じであるが、塩をする時間と酢でしめる時間が微妙に異なる。

新子の捌き方

シンコはコハダと同じように腹開きにする。(詳しくは別記事の小肌の捌き方参照)

写真のように腹から開く
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新子の塩加減

コハダは開いたら直接塩をふるが、新子は身が薄いため、それでは塩が均等に回らない。そこで【立て塩】と言う塩の入れ方をする。

立て塩とは、濃い目の塩水で塩を入れる方法であり、身の薄い魚に塩を入れる際に使う。

あくまで一例だが、写真の新子は水100gに対し塩10gを溶かした塩水に新子を10分程漬け込んでいる。

塩の入りの目安は皮がうっすらと縮むくらい。

塩漬けの時間は大きさによりけり。小さいものほど短くなる。

新子の酢漬け

新子は酢が薄いと皮目が溶けてしまうが、酢が濃いとただただ酸っぱいだけの寿司ネタになってしまう。その為、新子を締めるのは難しいとされる。

写真シンコの場合だが、常温のお酢に50秒ほど漬け込んだ(酢漬けの時間も人によって、新子の大きさや鮮度によって様々である。)

お酢につける。大きさによって時間は異なる。
ボウルに貼り付けて水気を切る

酢から上げ、1日寝かせると新子の完成である。

シンコを仕込む際のポイントは塩加減と酢加減であり、上記はあくまで一つの例。

お店によって仕込み方が全くといっていいほど異なる魚であるので、お店の特徴が出やすい魚であると言える。

塩が少ないと生臭くなり、酢が弱いと皮がボロボロに溶けてしまう。

仕込み方はお店によって様々。

小肌(新子)を食べれば、お店のレベルが分かると言う言葉はこの事に起因する。

何枚か重ねて握る新子の握りはコハダにはない独特な香りが楽しめる、夏の代表的な鮨である。

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