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玉子焼きの種類と焼き方(玉子焼き・だし巻き・厚焼き・カステラ玉子・薄焼き卵の違いは?)

まずは、玉子焼きを焼く前に玉子についてお勉強しましょう。

目次

食品としての玉子

玉子、特に鶏卵と言いますと日本人、ひいては人類の食生活と切っても切れない関係にあります。完全栄養食品という言葉からも分かる通り、玉子は栄養価が豊富です。ま、ヒヨコが産まれる為の栄養が玉子の中に詰まってるわけですから、当然と言えば当然なんですが。常温でも数週間は日持ちするというのも、大きなメリットですね。冷蔵技術の無い時代、肉や魚類に変わって貴重なタンパク源だったわけです。つまり世界中で玉子は、人類の食生活を支えてきた存在と言う事ですね。

実感が無いとは思いがすが、実は日本は卵が好きな国として有名だったりします。

単に玉子を茹でる料理だけでも、ゆで卵に始まり、半熟玉子、温泉卵、味玉とパッと思いつくだけで4種類。ほぼ全国民が名前を聞けばその違いを説明できるのでは無いでしょうか?

さらに言いますと、生で卵を食べる国は世界的には大変珍しかったりします。一応アメリカ始め、ヨーロッパの国でも生食はするんですが、海外のスーパーでは生食可の玉子と生食不可の玉子が分けて売られているのが普通だったりしますんで。それだけ日本の食品管理は行き届いてるって事です。みんなが大好きな卵かけご飯も、海外の人からしたら信じられない光景だったりするわけです。

日本人一人当たりの卵の年間消費量約300個、世界3位の消費量です。

面白いデータがありまして、皆さんご存知クックパッドでは、全レシピのうちの20%が玉子を使った料理とされています。これを聞くと日本人がどれだけ玉子が好きか想像できるのでは無いでしょうか。

玉子は1日何個まで?

玉子は1日1個まで。玉子好きな日本人ですが、玉子は1日1個まで、そんな話もよく耳にします。

理由は玉子に含まれるコレステロール。栄養価の高い玉子ですが、実は玉子1個あたり約220mgのコレステロールが含まれております。コレステロールは心筋梗塞や脳梗塞など血管系の病気に関係すると言われており、玉子を取りすぎると血管系の病気になりやすいと言われてきました。

しかし最近少し事情が変わってきたようで、全国鶏卵消費促進協議会では1日2個の玉子を促進していますし、イタリアの117歳まで生きた女性は1日に3個の玉子を食べていたなどと言うニュースもあったりします。さらにはコレステロールを多くとったからといって血中コレステロールが上昇するとは限らないという研究結果があったりと何個食べても平気とする意見も多く見受けら得ます。

しかし、一方で、アメリカのノースウエスタン大学の研究では卵を1週間に3~4個食べる人は心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高いとされています。

こういった議論は玉子に限らずよく見られるわけでありますが、まぁ要するに、みんなよく分かっていないって事ですね笑

そもそも食事というのは、玉子だけを食べるわけではありません。日本人とアメリカ人では食生活も違いますし、そもそも消化器官の作りが違います。甘いものが好きな人もいれば、塩辛い漬物じゃなきゃ満足できない人もいる。おなかいっぱい食べたい人、腹八分目で満足できる人。色々な人がいるわけで、1日何個食べるのが〜なんて議論は意味のない事です。玉子を1個しか食べなくてもスナック菓子やスウィーツばかり食べていたら意味がないですし、ほとんど食べない人なら玉子で栄養を補った方が健康な場合もある。

それぞれそのライフスタイルにあったバランスの良い食事というものが存在するわけです。過ぎたるは及ばざるがごとし。色々な情報が溢れていますが、塩分を摂りすぎれば喉が乾くように、要は体のサインを見逃さずに、自分にあった食事をする事が大切って事ではないでしょうか。

まぁ結論を言いますと、例え玉子焼きを作るのに玉子を4つ使ったとして、それを思い切り食べても問題ないという事です。細かいことは気になさらず、楽しく食事しましょ。

玉子の色について

玉子は物によって卵黄が大きく異なります。色で言うならオレンジ色をした卵黄もあれば黄色の卵黄も存在します。硬さで言えば箸で掴めるくらいしっかりしたものもありますし、玉子の殻を割っただけで崩れてしまうくらい繊細な卵黄も存在しています。一概にどれが美味しいとは言い切れないのが面白いところです。一見オレンジ色のしっかりした卵黄が美味しそうに見えますが、これらは全て鳥の餌に関係しており、健康に育った玉子は黄色い黄身をしているとも言われますし、オレンジ色の美味しい玉子も存在しています。

色も硬さも生産者さんの思いが反映されていると言うことです。どうせ食べるならこだわりを持った生産者さんの玉子を食べたいものです。

玉子焼きの種類と焼き方

さて、いよいよ本題ですが、玉子焼きと一言で言っても意外と種類が多かったりします。私の知る限りで言えば大きく4種類。

  • 主に関西で食べられる出汁の効いた出汁巻き卵
  • 主に関東以北で食べられる甘めの厚焼き玉子
  • 江戸前鮨に代表されるカステラ玉子(薄焼き卵)
  • 最近東京でもちょこちょこ見かけるようになったプリンのような厚焼き玉子(元々は宮崎県飫肥市の特産品だったと記憶しておりますが、東京の寿司店でよく見かける為、そのルーツは不明です。)

どれも地域性が強く、皆様、自分の好みの玉子焼きが存在する事と思います。まただし巻き玉子や玉子焼き、厚焼きの表現は厳密な区別があるわけではありません。

出汁巻き玉子と言いながら甘い玉子焼きの場合もあれば、厚焼き玉子と言いつつ甘くない関西風の玉子焼きという場合もございます。

甘い玉子焼き、甘くない玉子焼きという呼び方が一番誤解が産まれなかったりしますんで悪しからず笑

では今回はそれぞれ一つづつ詳しく特徴を見つつ焼き方もご紹介いたします。

①だし巻き玉子の特徴と焼き方

出汁巻き玉子とは、主に関西で食べられている玉子焼きです。玉子に出汁を合わせて焼き上げます。その特徴は何と言っても出汁の量。

食べた瞬間というよりも、玉子焼きを切った瞬間から出汁がしみ出てくる程出汁を使います。熱々を口に頬張れば、出汁の香りが口から鼻に抜け、後から来るほのかな塩気と玉子の味がなんとも心地よい玉子焼きです。

また焼いた後に巻き簀で形を丸く整えるのもだし巻き玉子の特徴と言えます。

他の玉子焼きに比べて多目に出汁を玉子に溶き入れるため、焼くのに少し技術が必要です。焼きあがってから冷めるうちに出汁が玉子から漏れてしまいますので、焼きたての熱々を食べるのがオススメ。

焼き方は玉子焼きの最も基本的な焼き方。手前から卵液を流し入れて焼いていきます。出汁の割合は人によって異なります。職人さんによっては出汁がこぼれ落ちないように水溶きの片栗粉を入れたりもする。玉子の味がストレートに伝わる為、玉子選びにはこだわりたいのが出汁巻き玉子です笑

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②甘い厚焼き玉子の特徴と焼き方

厚焼き玉子(ここでは甘い玉子焼きを指す)は主に関東以北で食べられます。後ほど紹介する主に鮨屋で提供されていたカステラ玉子に取って代わる形で甘い玉子焼きが広まったとされておりますが、正確なルーツは不明です。関西風の出汁巻き玉子に比べ出汁が少ない為焼きやすく感じるが、砂糖が多めに入る為、焦げ付きやすい。

また、飲食店などでは玉子焼き専用の銅板を使って焼くが、どう言うわけか、これは水で洗ってはいけないと勘違いしている板前も多い。

築地などの1日で何十本と焼く場合にわ、油をたっぷりと使い水で洗わずに連続で焼いていくが、これが水で洗うと玉子が板に付きやすくなると、まぁ、それはそれでプロっぽい理由なので、間違って広まったものと思われる。

砂糖は高音で焼けば、油と関係なく板にくっついてしまうので定期的に水で落としてやる必要があるので覚えておこう。

焼き方は出汁巻きと同じだが、焼き上がりは巻き簀で形を整えず、角をつけて仕上げる場合が多い。

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③鮨屋の玉子焼き・カステラ玉子(薄焼き卵)の焼き方

今や提供しているお店は都内の高級店のみとなったが、江戸前の鮨屋で玉子焼き(ぎょく)と言えばこのカステラ玉子が一般的であった。元々は厚焼き玉子に比べて薄い為、薄焼き卵と呼ばれていたが、食の地域性の境目が曖昧になりつつある昨今では薄焼き卵と言うと錦糸卵(ちらし寿司に乗っている玉子)を想像する人が多くなった。その為、見た目がカステラに近いことからカステラ玉子と呼ばれるようになった。

最近の鮨屋で厚焼き玉子が主流となった理由としては、カステラ玉子は焼くのに非常に手間がかかる事があげられる。

手順としてはまず、海老などのすり身をひたすら練り、細かく粘り気を出し、その後大和芋などのつなぎを加えひたすら寝る。いや、ひたすら練る。その後砂糖や玉子を加えまたまたひたすら練る。その後弱火でじっくりと焼き上げていく。

2〜3時間ほどかかる作業だが、こまめに火加減を確認しながら焼いていく為、手が離せる時間はほとんどない。また途中で一度裏と表をひっくり返すのだがこれが非常に難しい。その為、昨今の時間効率を重視した飲食業界からは姿を消しつつあるのが現状。

作り方も伊達巻に近い為、簡単に作りたい場合はハンペンとオーブンで作る事も可能であるが、やはり海老と大和芋で繋いだ玉子には敵わない。

今では一部の高級鮨店でのみ味わえるものとなってしまった。

しっとりとした食感とほのかな海老の香りが癖になる味わいで鮨屋に行ったら食べたい玉子焼きである。

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④プリンのような厚焼き玉子

元々は宮崎の特産品であったと思うが、東京のミシュラン掲載の鮨店が提供した事で一気に広まった印象がある。

基本的には鮨屋で提供されている。もちろんお店によって作り方は違うが上記のカステラ玉子とは別物。出汁を加えた焼きプリンと言う印象。

滑らから口溶けが醍醐味。冷蔵庫で冷やして提供される事が多いと感じている。

鮨屋の玉子焼きは最後のデザート的な意味合いが強くなりつつある。その為、甘い玉子焼きがコースの最後に提供される事が一般的になった。

ミシュラン掲載店が提供した事で違和感なく鮨界に飛び込んできたと感じている。

海老出汁の焼きプリンと思っていただきたい。

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