本ミル貝を使って、おつまみになる珍味を作ります。
本ミル貝と白ミル貝の違い
ミル貝は、今回の本ミル貝と、白くてちょっと細長い白ミル貝という2種類が流通しています。どちらも同じミル貝ですが、実は別種です。白ミル貝も結構いい値段で取り引きされますが、白ミル貝よりも黒っぽい本ミル貝のほうが高級な貝というイメージです。貝の女王様と言われるぐらいで、ほどよい甘さがあって美味しい貝です。白ミル貝も食感が強くて甘みもあって美味しいんですけれど、お寿司屋さんは本ミル貝を使う場合が圧倒的に多いです。
本ミル貝のさばき方
ミル貝のさばき方については過去の記事もご参照くださいませ。
ミル貝は左右非対称な位置に貝柱が付いているので、この2つの貝柱を貝むきではずします。本ミル貝の場合のポイントは、水管の終わりの位置が貝殻にくっついているので、この部分をしっかりと外すように貝むきを使うことです。
ミル貝を貝殻から外したら、身と水管とヒモと貝柱の4つに分けます。身の部分は手で簡単に外せます。
ヒモの部分は水管としっかりくっついているので、包丁で外してください。貝には貝柱が2つ付いていますが、小さいほうの貝柱はヒモとくっつけたまま使います。
それぞれ掃除をしていきます。大きな貝柱はそのままで大丈夫です。ヒモは表面に糸状の膜のようなものがくっついているので、手で外します。
身の掃除をします。身にはうねうねっとした貝のエラが付いているので、包丁で外します。
エラを外すと勾玉のような身の部分が出てくるので、開いていきます。開く際はRに沿って内巻きになっている部分を残すようなイメージで開きます。
背中から包丁を入れて、内巻きになっている部分のぎりぎりまで包丁を入れます。
身の内側はワタが詰まっているので、包丁でこそげ取ります。お刺身で食べる場合は、軽く湯に通してヌメリを取ったりするんですが、今回は珍味っぽく塩をして干して食べるので、湯には通さずそのまま調理します。ワタを包丁でこそげ落としたら軽く水で洗います。
水管の部分は熱湯に落として殻をむく場合が多いのですが、今回は刺身や寿司ではなく焼いて食べるので、湯には落としません。湯に通さずそのままむくのはちょっとむきづらいので、塩を使ってむきます。
口の部分の殻は塩をしなくても手で簡単にむけます。
口以外の殻の部分は塩をして3分ほど放置します。塩気に反応してミル貝がギュッと縮んで殻が外れやすくなるんです。
3分ほど経ったら塩を軽く洗い流して、ひたすら殻をむきます。むく時に爪を立てると貝の身に傷がついてしまいます。なるべく爪を立てずに、指の先を使ってむくような感じでむいてください。爪を立てるにしても身には傷をつけないようにします。
今回は焼きでも火を通すので、熱を加える時間をなるべく短くするために、お湯ではなく塩をして殻をむいています。湯をせずに塩をしてむく場合は、ミル貝の鮮度が良くないと身がしまりません。火を入れずにむく際は必ず鮮度のいいミル貝を使用してください。
おおかたむけたら軽く水で洗い流して、少し残った殻は骨抜きなどを使って取り除きます。
外側の殻をきれいにむいたら包丁を入れて貝を開きます。横から入れて貝を切り離さないようにスレスレまで包丁を入れます。
付け根に膜みたいなものが付いていて、磯臭いので外します。中もきれいに水洗いしたら身の仕込みが完成です。
珍味の作り方
水管、身、ヒモ、貝柱に分けました。お刺身にする場合はそのまま食べてもいいんですが、今回は珍味っぽいものを作りたいなと思ったので、水管は味噌漬け、身とヒモと貝柱は塩と酒で洗って干物にして、それぞれ焼いて食べます。
干物の下処理
ミル貝の身とヒモと貝柱を干物にします。方法は非常に簡単で、ボウルなどに塩を入れて酒を注いで、塩をよく溶かしたら身とヒモと貝柱を浸けます。5分ほど経ったらお酒からあげて干します。
干し方はどう干してもよいですが、金串などに貝を通して風通しの良い場所で6時間から7時間程度、貝の表面が乾く程度に干します。
干していると下からボタボタと酒や貝から出た水分が落ちるので、下にボウルなどを置いて干すようにするとキッチン周りが汚れません。
干し終わると、表面がカサカサと乾燥して一回り小さくなっています。すぐに食べない場合は、ラップして冷蔵庫に入れておけば1日2日は日持ちします。食べたい時に炙ってお召し上がりください。
味噌漬けの下処理
ミル貝の水管は味噌漬けにします。ペーパーで水管を包んで、かさばらないように余分な部分は切り取ります。
味噌は好みでよいんですが、僕の場合は赤味噌と西京味噌です。ちょっと甘みのある西京味噌と、コクのある赤味噌を合わせて味噌床として使います。
味噌だけだと味噌が重すぎて全然味が入らないので、味噌をお酒で伸ばします。ゆるめの味噌床を作ってから貝を浸け込みます。
適当なサイズの容器を用意して、味噌を敷いた上に貝を置いて、さらに上から味噌をかけて一晩置きます。
24時間経つと、しっかりと味噌の味が入って染みています。ペーパーの内側に味噌が入り込んで味噌がついていたら軽く酒で洗い流します。ペーパーなどで拭き取ってもいいでしょう。
焼き方
焼く際は炭火で焼くのが一番いいですけど、ガスでもオープンでも焼けます。火を入れすぎないことがポイントです。鮮度のいい生きたミル貝を使用すれば、表面にサッと火を入れて余熱で中まで火が入るような具合でも充分食べられます。
炭火を用意するのはなかなか手間なので、僕は家で食べる時は魚焼き用の網でガスの火で焼き物をすることが多いです。白い部分が熱を吸ってじっくり火が入るものを使用しています。
程よく焼き色がついたら、貝のおつまみの出来上がりです。贅沢な食べ方ですが、たまには珍味を作って日本酒を飲んだりするのも美味しいと思います。
今回のYouTube動画
今回の記事は動画でも紹介しております。ぜひ、ご参照くださいませ。