脂がのっていて、焼き魚にすると非常に美味しい銀ダラ。
人気の銀ダラのさばき方・西京焼きの作り方をご紹介します。
銀ダラとは?
銀ダラという名前は聞いたことがある方も多いと思いますが、姿を見たことがある方は少ないのではないでしょうか。
今回は、生のマルの状態で仕入れて内臓を抜いた状態で市場に届いたものをさばきます。
銀ダラの産地・流通
タラという名前なので銀ダラは日本の魚のような気がしてしまいますが、流通のほとんどはアメリカ・カナダ・アラスカが産地です。
国産での水揚げは北海道や青森などの寒い地域ですが、ごく稀です。
アメリカやカナダで養殖された銀ダラが、だんだんと日本でも流通するようになってきました。
銀ダラの頭を落として内臓を抜いた冷凍の状態で出回ることが多いです。
銀ダラの価格・メロとは?
先輩の職人さんに聞くと、昔は銀ダラが安かったという話を聞くんですけれど、脂がのっていて、焼き魚にすると非常に美味しい魚ですので、今はだいぶ高くなっています。
また、銀ダラと表記されつつ、メロという銀ダラではない魚も出回っていたりと、なかなか人気の魚です。
銀ダラのさばき方
銀ダラの鱗の取り方
まずは、ヒレをハサミで切り取り鱗を取ります。
銀ダラは細かい鱗がびっしりと付いているので、金ダワシでこすりとります。特にヒレのキワは鱗が残りやすいので、重点的にこすりましょう。
金ダワシで全体の鱗を取ったら、身を水洗いします。そのあと、包丁で残った鱗をかき取ります。
ポイント
金ダワシで取ったつもりでも細かい鱗が残りやすいので、最後に包丁でかき取ります。鱗が残らないようにするのが、美味しく食べるポイントです。
特に、お腹は内臓を抜いた状態でペラペラなので、鱗がしっかりと取れたか確認してからさばいてください。
銀ダラの頭の落とし方
鱗が取れたら頭を落とします。
銀ダラは、骨が非常に柔らかいので、頭を落とす作業は比較的簡単です。魚体が大きいわりに、小さい包丁でも簡単におろすことができます。
魚のアゴの部分であるカマは、エラの付け根に包丁を入れて頭と切り離し、血合いや腹膜をきれいに洗い流します。
カマも一緒に漬けて焼くと、非常に美味しく食べることができますので、購入した際にはお試しください。
銀ダラのおろし方
頭を落としたら、三枚におろします。
銀ダラの皮は硬いのですが骨は柔らかいので、優しく丁寧におろすようにしてください。
まずは半身におろします。
裏おろし
半身におろしたら、骨付きの半身を裏おろしします。骨付きの半身をひっくり返さず、そのまま包丁を入れます。
裏おろしのポイントは、骨のラインを見つけたら、包丁は少し刃を上向きにしながら、左手で骨をしっかりと押さえて、骨をたどりながらおろしていくことです。
片面のラインをはずしたら、一方の面も同様に包丁を入れていきます。
両サイドにしっかりと包丁が入りましたら、最後に残った骨をはずします。
冷凍銀ダラをさばく時の注意点
銀ダラは、冷凍の状態で流通することが多いので、凍っている身を三枚におろそうとすると、身が硬くて骨との境目がわからず、変に力が入って指を切ることがよくあります。
凍った銀ダラをおろす際は、注意しながらおろしてください。
腹膜と骨の取り除き方
三枚におろしたら、腹膜とアバラ骨をすきとります。
それから、血合い骨を抜いていきます。
血合い骨は、しっかり抜けきれる場合と、身に残る場合があります。銀ダラの骨は非常に柔らかいので、途中で切れて身に残ってしまうのです。
骨が切れた時に深く追いかけると身がどんどん割れるので、諦めて作業を続けていきます。
身の切り方
血合い骨を抜き終わったら、身を食べやすい大きさに切り分けます。
銀ダラは水分が多いので、漬け込むと縮みます。身が縮むことを意識して切り身にするのがポイントです。
切り身にしている途中で血合いの中に切れた骨が出てきたら、その都度骨抜きで抜きます。
西京焼きの下味の入れ方
身の水分を抜く
切り身にしたら味を入れていきますが、銀ダラは脂が強いので、そのまま漬け込んでも全然味が入りません。
まずは、身の水分を抜きます。
ザルに魚を並べて、身に薄く塩を振ります。さらにその上から砂糖を振って味を入れつつ、魚の水分を抜いていきます。
なぜ砂糖を振るのかというと、塩だけで水分を抜くと、西京焼きの仕上がりがしょっぱくなりすぎる気がするからです。西京焼はしっかりと甘さが入っていないと美味しくないので、塩だけでなく砂糖を使って身の水分を抜くようにしています。
塩だけや砂糖だけで身の水分を抜く方もいるので、お好みでいろいろ試して自分なりの味を作るのがよいではないかと思います。
全体に塩と砂糖を振ったら、そのまま30分ほど置いて水分を抜きます。
30分経つと、表面に水分が浮いてくるので洗い流します。
味噌床への漬け込み方
味噌床
表面に出た水分を洗い流したら、味噌床に漬け込んでいきます。
西京漬けなので、当然ながら西京味噌を使いますが、香りづけに大吟醸のお酒から作った酒粕の風味を足してみます。
他にも、味噌床が少し固いようならお酒を足してみたり、甘めが好きなら砂糖やみりんを加えてもよいと思いますので、お好みの甘さや塩気に調整して、味噌床をお作りください。
漬け込み方
味噌床を調整したら、魚を漬け込んでいきます。
味噌床をのばして、ガーゼやサラシなどの味のしみやすい布を1枚かませてから魚を並べます。もう一度布をかませ、味噌を重ねます。
1段で全て並べられなければ、さらにもう1段、布を敷いて魚の切り身を並べ、布を敷き味噌をのばします。
最後の段の味噌にラップをかけて冷蔵庫で寝かせます。
冷蔵庫での保管方法
冷蔵庫でどのぐらい寝かせるかは、味の好みと魚の脂のノリによります。
僕の場合は、銀ダラなどの脂の乗った魚は1週間ぐらい漬け込んでしまいます。薄味に仕上げたければ、2日~3日ぐらいでもよいでしょう。
何度もやってみて、自分の好みを見つけるのが料理のおもしろさかと思いますので、お好きなように漬け込んでください。
4日後の様子
4日ほど漬け込むと、サラシにも味噌が染みて銀ダラにもしっかりと色づく程度に味が入ります。
途中で上下を返したり、銀ダラの位置を入れ替えたりと、ちょっと面倒を見ながら漬け込むとムラなくきれいに漬かります。
漬け込んだ銀ダラを一度に食べきれなければ、冷凍しても品質はそんなに落ちません。用途に応じて保存してください。
銀ダラの焼き方
銀ダラの皮は硬いので、皮に切れ目を入れて軽く串を打って焼くとよいでしょう。
身は非常に柔らかくホロホロッと崩れやすいので、身が崩れないように丁寧に焼いてください。
串を打つ際のポイント
串を打つ場合、身を波うたせると見栄えがよくなります。ただし、角度をつけすぎると焼き上がりの身が崩れやすくなりますので、適度に波うたせます。
きれいに焼き色がついたら串を抜きます。
串を抜く際は、串を回しながら優しく引き抜くときれいに抜くことができます。
焼く温度
理想は炭火ですが、オーブンで焼く時は170~180℃の温度を目安に焼きます。温度が高すぎると、味噌と糖分の関係で焦げやすくなります。
銀ダラの西京焼きの盛りつけ方
焼き魚にはスダチをよく添えますが、西京漬けや粕漬けのような甘めの焼き物にはスダチは合わない気がします。
本日の添え物は大根おろしにしました。
お好みの添え物でお召し上がりくださいませ。
今回のYouTube動画
今回の記事は、動画でも紹介しております。ぜひ、ご参照くださいませ。