秋になるとスーパーでも筋子をよく見かけるようになります。筋子をほぐしたものがイクラでありまして、醤油に漬け込めばイクラの醤油漬けとなります。
イクラは高いですし、ご自分で作るなら失敗はしたくありませんよね。
ですがこのイクラの醤油漬け、よく失敗します。
具体的な例として、イクラが固くなる。イクラに張りが無くなってしまう。という2点では無いでしょうか?
これらの疑問になるべくお答えできるよう、今回はイクラの醤油漬けの作り方を2種類、さらにイクラの味噌漬けの作り方も合わせてご紹介いたします。
イクラの醤油漬けの作り方
一般的なイクラの醤油漬けの作り方
まずは筋子を仕入れましょう。
写真のように、ツブが大きすぎずしっかりと張りがあるものが良いでしょう。
このままでは筋子がとてもほぐし辛い。よって塩を入れたお湯に浸けます。お湯につける事で、このイクラの周りについている膜が縮み、自然とイクラが外れると言う事です。ちなみにお湯の温度は40〜50度の間にしてください。
お湯の温度が高すぎると膜が柔らかくなりすぎて皮がボロボロになってしまいます。
これがイクラを作る際に良く失敗するポイントの一つです。
お湯に浸けたイクラは自然とポロポロとほぐれて行きます。これが温度が低かったり高かったりするとボロボロになってしまいます。お湯の温度にはくれぐれも注意しましょう。
お湯につけるとイクラは白くなりますが、筋をほぐして流水で洗い流し、ザルに上げておくと
このように元の色に戻ります。
これを醤油に漬け込む訳です。
一般的なあたりとしましては醤油:酒:みりんを1:1:1で合わせ、一度沸騰させたものをイクラの総量の1割ほど足して漬け込みます。
数時間おけば、イクラが醤油を吸込みイクラの醤油漬けの完成です。これが一般的なイクラの醤油漬けの作り方です。
さてここまでたどり着いた皆様の中で、イクラがパンパンに張ってしまう、イクラが固くて食べられないと言う方がいらっしゃると思います。この原因について解説します。
以前の記事にも書きましたが、皮が固くなる原因は主に3つあります。
- そもそも仕入れた時点で皮が固くなってしまっているパターン
- イクラが水分を吸って皮が固くなるパターン
- イクラが熱で変性して皮が固くなるパターン
です。
イクラは何故固くなるのか?
さて、イクラが固くなる原因を3つ上げましたが、一つづつ見ていきましょう。
そもそも仕入れた時点で皮が固くなってしまっているパターン
このパターンは正直どうすることも出来ません。鮭が遡上するに従って、つまりは産卵に近くにつれ、イクラは自然と皮が固くなっていくものです。これは自然の摂理と言うもので、どうしようもありません。諦めましょう。
唯一出来ることは仕入れないこと。買わないことです。12月に入った頃には随分イクラも固くなってまいりますので、自分で見分けがつかない場合は業者さん、店員さんに相談すると良いでしょう。
イクラが水分を吸って皮が固くなるパターン
こちらのパターンはイクラの皮が浸透膜になっている事と関係があります。浸透圧の関係でイクラは水分を吸込みます。水分を吸う事でイクラはパンパンに膨らみます。イクラが水分を吸い込む際に醤油などの出汁も一緒に吸い込む事でイクラに味が入る訳ですね。
イクラが水分を吸込みすぎた場合、2つ問題が起こります。
1つ目は、イクラ自身がその張りに耐えきれずに破裂してしまうパターンです。水分を吸込みすぎて、耐えきれなくなってしまうと言う事ですね。
このパターンは出始めのイクラ(9月のイクラ)に多くみられます。皮がまだしっかりしていない為に、起こる現象です。破裂してしまうと、イクラの旨味は外に逃げてしまいますし、何よりプチプチとした食感がなくなってしまいます。
2つ目はイクラがパンパンに張って口の中で踊ってしまう(噛む前に口の中で弾んでしまう)と言うパターンです。これは逆に皮がしっかりとしているイクラ全般にみられる現象でもあります。
どちらもイクラが水分に触れすぎた為に起こる現象といえましょう。
これらはイクラが水分に触れる時間を短くする事で解決出来るとも言えます。
イクラが熱で変性して皮が固くなるパターン
鳥の卵をイメージすると解りやすいかと思いますが、生卵は熱を加えるとゆで卵に変わります。
タンパク質が熱で固まる為に起こる現象ですね。魚卵で言えばタラコを焼きタラコにすると固くなるのと同じと言えます。
イクラも例に漏れず、熱で固くなります。皮をほぐす際に、熱めのお湯に浸ける際に、少なからずイクラが熱変性を起こし、固くなってしまうと言う事です。
さて、これら3つを踏まえれば、どうしたらイクラが固くならないのか。固くならないイクラの醤油漬けの作り方が少しは見えてくるかと思います。
固くならないイクラの醤油漬けの作り方
まずはイクラを仕入れましょう。ツブが大きく鮮度の良いものがおすすめです。ご自身で自信がない場合には素直に店員さんに聞いてみましょう。
さて、仕入れた筋子は薄い膜で覆われています。一般にはお湯を使ってほぐしていく訳ですが、お話した通り、水分と熱はイクラの天敵です。時間はかかりますが、お湯を使わずに手でほぐしていきましょう。
このように膜を開き、指先でポロポロと揺すると自然とイクラはほぐれていきます。
ある程度ほぐれても写真のような細かな膜が残っておりますので、綺麗に取り除きましょう。
ほぐし終わったイクラは一度だけ、塩水で洗いましょう。ここで潰れたイクラや取りきれなかった筋が見えてくるはずです。綺麗に取り除き、ザルにあげましょう。
ザルにあげたらペーパーで水分を取り除き、全体量の10パーセントの出汁醤油を加えます。
このまま数時間置けば、
イクラが程よく味を吸込み、ねっとりプチプチのイクラの完成です。
いかがでしょうか?一般的な仕込み方より、圧倒的に水に触れている時間が短いと思いませんか?
これが、今現在、私が思う、イクラが最も固くなりにくい漬け方です。
ちなみに味噌漬けにする場合はペーパーで水分をとった後に
このようにイクラをペーパーで包んで味噌に2〜3時間ほど漬け込めば完成です。味噌は酒とみりんで軽く伸ばすとイクラの浸かりが早くなって良いかと思いますよ。
味噌味のイクラはより濃厚でお酒のお供にはもってこいですので、興味のある方はぜひ試してみてくださいな。
お浸しに添えても良し、
イクラおろしもまた良しです。
ん、んまい。
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