栗の渋皮煮の作り方と保存方法を紹介します
栗の選び方
9月の半ばを過ぎると市場に出回る食材も徐々に秋のものへと変わっていきます。
サンマや松茸はもちろん栗も秋を感じさせる食材の代表です。
日本では様々な栗が市場に並びます。
購入の際は粒が大きく、ハリと艶のあるものを選びましょう。
稀に小さな穴が空いている栗が混入しています。松茸同様に虫食いの可能性が高い為、穴の空いた栗を見かけた際は購入しないほうが良いでしょう。
買ってしまったら食べない事をおすすめします。
代表的な栗の種類
和食に携わる料理人なら知っておきたいブランド栗を数種、ご紹介します。
丹波栗
栗といったらまずは丹波栗でしょう。主に京都と兵庫で栽培されており、大粒でハリがあり甘みが強いのが丹波栗の特徴です。甘みと香りが強く、栗料理全般に適しています。
笠間の栗
産地を気にしながら買い物をしている方は気付いているかと思いますが、茨城県は栗の生産量全国1位です。スーパーで売られている栗のほとんどは茨城県産です。
そんな茨城県、笠間市で生産されている栗が【笠間の栗】です。特徴はなんといっても冷蔵熟成。1ヶ月かけて冷蔵庫で熟成させてから出荷される笠間の栗は甘みが強く、渋皮煮や甘露煮に適しています。
西明寺栗
秋田県で生産されるとても大きな栗です。
味はもちろん見た目のインパクトは西明寺栗に勝るものは無いでしょう。
初めて見る方はその大きさに驚くことと思います。
洋菓子によく使われますが、渋皮煮などインパクトのある料理を作りたい方は是非使ってみてください。
中山栗
丹波と同じく西の栗の代表的な産地、愛媛。そんな愛媛、宇和島で生産されるのがこの中山栗。
大きさ、味、共に申し分ない栗で、江戸時代には将軍に献上されたと言われている。
小布施栗
小布施栗は長野県小布施長で生産される栗。
大きく甘みがあることから和菓子によく使われる。甘みに優れた栗で和菓子好きには是非食べていただきたい栗である。
栗の剥き方と、渋皮煮の作り方
栗の皮の剥き方
購入した栗は5分程水に着けておきましょう。外側の硬い皮が剥きやすくなります。
次に栗の皮を剥いていきます。栗のお尻の色の変わるところから包丁を入れます
そのまままな板と包丁で殻を挟み、左手で栗を回転させます。
包丁で殻を引っ掛けて栗を回すイメージです。包丁を動かして剥く方法もあるのですが、栗は殻が固く滑りやすいので、指を切ってしまう可能性があります。一度指を切るとなかなか料理が思うように進みませんので、私は指を切りにくい方法で栗の皮は剥くようにしております。
半分まで剥けたら、栗を返し
包丁が引っ掛かりそうなポイントを見つけて、まな板との間に固定して栗を返す。
これを繰り返せば簡単に、かつ安全に栗を剥く事ができます。
硬い皮が全て剥けると上の写真のような状態になります。筋が多く残り、気になるかと思いますが、気にしなくて構いません。この後煮る事で筋は簡単に外れますから。
剥いた栗は乾燥に弱いので、水に放っておきましょう。
栗の渋抜き
次に栗の渋を抜いていきます。重曹(炭酸水素ナトリウム)を使って渋抜きをします。
重曹の量ですが水1Lに対し重曹約5gを入れた鍋に栗を入れ、火にかけます。
初めて栗を煮る方は信じられないくらい水が黒くなりますが気にせずそのまま10分程火にかけましょう。
10分経ったら一度水に晒し、栗の太い筋を竹串などを使って取り除きます。
太い筋が取れたらもう一度重曹を加えた水で10分煮ます。
また水にさらし、手で軽く栗の掃除をし、合計で3回(30分)重曹で煮てください。
これで渋を抜く事ができます。
ここから味を入れていきます。
栗の渋皮煮(密煮)の方法
水1Lに対し砂糖30gを溶かし塩をひとつまみ加えます。火をかけ沸騰したら火を弱火に落とします。
強火のままにしておくと栗が煮崩れてしまいますので気をつけましょう。
鍋に張る水の量ですが、栗がしっかりと浸かるようにしましょう。
リードペーパーなどで紙蓋をしそのまま弱火で30分煮ます。
火からおろし10時間以上煮汁に漬け込みます。
その後水を少し足し、砂糖をお好みで足して、再び弱火で30分炊きます。
火からおろし、煮汁が冷めたら出来上がり。
お好きな方は最後にブランデーを適量入れてください。
これで栗の渋皮煮の完成です。
栗の甘みとブランデーの香り、しっとり感。
ん、んん、んまい。
栗の渋皮煮の保存方法
さて、そんな手間のかかる栗の渋皮煮ですが、どうせなら一度に大量に作って保存しておきたいものですよね。
瓶詰めで真空にしてあげると1年ほど持ちますが少しでも空気が入ると開けた時に腐っていたりします。
ご家庭でオススメの保存方法はやはり冷凍でしょう。
ジップロックなどに入れてなるべく空気を抜き平らにしてください。そうする事で使いたいときに使いたい分だけ取り出す事ができますから。
平らにしたら後は冷凍庫に入れるだけ。
しっかりと蜜煮にしておりますので家庭用冷凍庫でも半年は持つでしょう。
御節料理に入れても良し、モンブランにしても良し。
一度にまとめて作っておくと便利ですよ。