夏になると市場でも見かける機会が多くなるウニ。イガ付きのムラサキウニのさばき方をご紹介します。
ウニの構造とさばき方
夏の時期になるとカラ付きのウニが流通し出しますが、イガ付きのウニはどうやって食べるんだと思うかもしれません。さばき方は実は簡単で、ハサミとスプーンがあればさばけます。
今回はムラサキウニという種類のウニですが、バフンウニもイガ付きのまま流通します。さばく工程はムラサキウニもバフンウニも同じです。
ウニはトゲトゲがあり手に刺さるイメージがありますが、よく見るとさして尖っているわけではないので、素手で作業ができます。
まずはウニの口を外します。ウニは裏側の真ん中に、イソギンチャクみたいな口があるので、この口の周りをハサミで切り取ります。
ウニを裏返した若干プニプニした口の周りからハサミを入れて、円形に口の周りを切り取ります。ウニの食べる部分である卵巣5か所を切り取らないように、口の周りを一回り程度切り取ります。口から離れた外側を大きく切ると卵巣を傷つけてしまいます。
卵巣を傷つけても、見栄えが悪くなるだけで食べることはできますので、神経質にならずとも大丈夫です。
ウニの洗い方
口を切り取ったら、中の泥や膜を掃除します。逆さにするだけでボトボトとウニの中の液体が落ちてきます。
軽く水分を切ったら、氷水に塩をひとつまみ程度加えた冷たい塩水で、軽くウニの中を洗います。このときに氷を入れすぎると、氷でウニの身を傷つけてしまいます。
冷たい塩水をウニの中に入れて、サッとウニの中を掃除します。ウニを取り出したあとも洗うので、この段階では軽くすすぐ程度にします。
次に骨抜きなどを使って、ウニの口を広げていきます。あとで口からスプーンを入れてウニの身をこそげ取っていくんですけれど、その際に口が小さいと作業しづらいので、カラをむしり取って作業スペースを確保します。
だんだんウニの身が見えてきますが、ウニの身をなるべく傷つけないようにウニの口を広げていきます。
充分にウニの口が広がったら、ウニの周りについた黒っぽい膜を軽く掃除します。初めて作業をする方は衝撃を受けると思いますが、ウニの中はドロドロとした膜や内臓みたいなものが結構詰まっています。
骨抜きなどを使って膜を軽く取り除きます。黄色い過食部分は、ウニの卵巣や精巣なので見慣れていると思います。当然ながら、膜を取り除くときにウニの黄色い過食部分をあまり触らないようにします。触り過ぎるとどんどんウニが溶けてしまいます。
ある程度ウニの身が見えてきたら、もう一度ウニをすすぎます。この作業をきれいな塩水で作業したいと思うかもしれませんが、このあとにもう一度ウニを洗うので、僕の場合は効率を考えてこのまま同じ塩水で作業します。
ウニは非常に鮮度の落ちやすい食材なので、作業をしていないウニは冷蔵庫にしまい、しっかり冷やして鮮度を保ちながら作業をします。
最後に軽く水ですすいで、冷蔵庫にしまってから次の作業に移ります。
2個目のウニをむいてみました。1個目のウニと2個目のウニで身の詰まり方が全然違います。1個目はしっかり大きいウニが詰まっているんですが、2個目はハズレかな。
1個目に比べて身の詰まりは弱く見えますが、これぐらい詰まっていれば僕の中では充分合格と思える身の詰まり方です。これぐらい詰まっていたら、僕は納得です。
身の詰まったウニの見分け方
ウニの当たり外れの見分け方なんですが、僕は正直カラの状態だと分かんないです。イガウニを売ってるお店には、サンプルでむいた状態のウニが1個置いてありますが、僕の経験上サンプル以上に身が詰まっていることは結構少ないです。
こんなこと言うとアレですけれど、魚屋さんはウニをいくつかむいた中で一番身が詰まっている物をサンプルとして置いているんじゃないかな。サンプルより身の入りが少ないことが続くと、ちょっと疑ってしまいます。見分けられる方がいれば、ぜひウニの見分け方を教えてほしいです。
僕は信頼できる魚屋さんに「今日いいよ」って言われたら買います。それぐらいしか見分けるすべを持っていません。皆さんそれぞれ独自の見分け方がありましたら教えていただきたいです。
ウニの身の取り出し方
先ほどと同じように氷で充分に冷やした塩水を用意して、スプーンでウニの身を取り出し、塩水に落としていきます。
ウニの身の取り出し方は、カラにスプーンを這わせるようにしながら水の中に落とします。ウニはご存知の通り非常に形が崩れやすいので、優しく作業をします。
ウニの身は、側面ではなく口の反対側の頭のてっぺんの部分にしっかりくっついているので、その部分を意識してこそげるようにしながら、卵巣をひとつひとつ取り外していきます。
僕もあまりウニを取る作業には慣れていなくて、取り残しがあります。取り残した部分もしっかり水に落として、無駄なく取るようにします。
カラはあとで盛り付けに使おうかなと思うので、きれいに洗って保存しておいてください。
取り出したウニは一度ザルなどで汚れた水を切ります。
再びしっかりと冷やした塩水を用意して、汚れた水を切ったウニを浸けます。
一度水を取り替えるとだいぶきれいにはなるんですが、最初に取りきれなかったウニの泥っぽい膜などが目視できます。骨抜きなどを使って、膜などを取り除きます。
再び充分に冷やした塩水にウニを移します。ウニの汚れがボールの底に沈んでいるので、水ごとザルにあげるのではなく、ウニを1つ1つスプーンですくいながら塩水に移します。スプーンですくっていくと、意外と取り切れなかったカラや膜が見えるので、見つけるたびに取り除きます。
最後にウニの水をしっかり切って仕込みの完了です。
ウニの盛り付け
軽く水を切った状態で食べる方もいると思いますが、僕の場合はさらに器にペーパーを敷いてウニを並べて、充分にウニの水気を切ってから食べます。そのほうがウニの味が凝縮しておいしいと思います。
僕は蓋付きの器に入れて器ごと冷蔵庫で冷やし、お客さんの前で蓋を開けるようにしています。お寿司にする場合は器から直接盛り付けます。
お刺身で食べる場合は、ウニのカラが非常に特徴的で面白い形をしているので、カラを活かして盛り付けます。
添え物は大根やキュウリなどでちょっとした飾りを作ります。
ウニは海苔とも相性がよいので、海苔を適当な大きさに切って、お刺身の横に添えても美味しいかなと思います。
器の上にウニの身を入れたカラと海苔を盛り付ければ、美味しそうに見えます。
なるべく豪華に見えるように、ウニとお好みの食材を盛り付けてお召し上がりくださいませ。
今回のYouTube動画
今回の記事は動画でも紹介しております。ぜひ、ご参照くださいませ。