豆アジのさばき方と南蛮漬けの作り方をご紹介します。
豆アジとは?
豆アジは小さいアジのことです。豆アジという種類のアジがいるわけではなくて、豆アジが大きくなれば普通のアジになります。シマアジはよく聞くと思うんですけれど、アジと全く別の種類の魚です。
アジには呼び名が色々あります。関アジ、金華アジなどのブランドアジも全て同じ種類の魚です。産地や漁港によって、この海域でこれぐらいの大きさで、何パーセント以上脂が乗っているものなど、ブランディングとして名前が付けられて流通しているだけです。基本的には、同じ種類の魚です。
「南蛮」とは?
南蛮という名前がつく料理は意外と多くて、チキン南蛮、鴨南蛮、カレー南蛮、南蛮漬けなどがあります。南蛮の意味は南蛮貿易に由来していて、スペインやポルトガルから入ってきた料理という意味が強いです。ネギやトウガラシを使った料理が多かったので、南蛮という名前がつく料理にはネギやトウガラシが入っています。
チキン南蛮というとタルタルソースがついているイメージがあると思いますが、これは地域性の問題かと思います。僕の周りでチキン南蛮というと、基本的にはフワフワの衣の鶏の唐揚げに南蛮酢がついた料理というイメージです。おそらくタルタルソースがついたチキン南蛮は、宮崎の郷土料理なのかな。時代とともに語源とのズレが出てきたような感じだと思います。
南蛮酢の作り方
南蛮漬けを作る時は、最初に「南蛮酢」とよばれる浸け込むお酢を作ります。先に南蛮酢を作る理由は、豆アジを揚げて、熱いうちにお酢に浸け込む必要があるからです。
南蛮酢は三杯酢に近いお酢です。出汁とお酢と薄口醤油とみりんのちょっと甘めの出汁のきいたお酢というイメージです。人によってはカツオ出汁で作るんですけれど、今回は昆布出汁です。
水で昆布を戻して、そこにお酢とみりんを加えてひと煮立ちさせます。お醤油は香り付け程度に、しょっぱくならない程度に加えて味を調えてください。
フツフツしてきたら、昆布を取り除いて一煮立ちさせて、浮いてきたアクをすくいます。ここであまり沸かしすぎると、お酢が飛んじゃって全然酸味のない南蛮酢になるので、この辺の加減がちょっと難しいところではあるのかなと思います。
基本的に南蛮酢というのは、この段階で葱や唐辛子を加えるんですけれど、それをやると結構手間が増えてしまいます。今回は先にお酢だけ作って、葱と唐辛子はあとから加えるという作り方をします。
余熱を取る程度に冷ましておきます。
豆アジのさばき方
豆アジの処理は比較的簡単です。口当たりが気になるようでしたら、ぜいごを取ります。骨ごと食べる料理ですので、ぜいごは取っても取らなくても構いません。
次にエラとカマ骨と内臓を手で引っ張ってはずします。
はずさない方もいますが、はずしたほうがいいと思います。理由は、カマ骨は硬いことと、内臓は苦味や雑菌の繁殖があるからです。カマ骨をはずすだけで、随分と食べやすくなるので、僕はカマ骨とエラと内臓をはずしてから作ります。
お腹も割けるので見た目は悪くなるんですけれど、豆アジというのはこうやって食べるものだと思って取りはずしてしまっています。丁寧にやるなら、1個1個ウロコを取って、内臓を抜いてとやったほうが、見た目はきれいかもしれません。
カマ骨とエラと内臓がはずせたら、きれいに洗います。洗ったら水気をペーパーでしっかりと拭き取ってください。揚げ物にするため、水気が残っているとバチバチ跳ねて危ないからです。
南蛮漬けの作り方
今回は野菜を揚げた油でアジを揚げたいと思っているので、先に野菜を揚げます。揚げたネギとトウガラシはお酢に浸け込みます。。
ネギとトウガラシを揚げる温度は、熱すぎず冷たすぎない150℃ぐらいです。フツフツと野菜から泡が立つぐらいの温度で揚げます。油にネギやトウガラシの香りを移すイメージです。
トウガラシやシシトウを揚げる時は穴を開けておかないと、揚げている最中に破裂して危ないので、穴を開けておいてください。
ネギとトウガラシに火が入ったら一旦ペーパーにとって、油を切って、お酢に浸け込みます。
次に、この油を使ってアジを揚げます。
アジを揚げる時は、片栗粉をお腹の中と全体にしっかりとつけて、余計な粉を落としてから揚げていきます。
温度は大体170℃前後です。骨ごと食べるので骨にまでしっかり火を入れたいんですけれど、あまり熱すぎると、骨に火が入る前に身がパサパサになってしまいます。熱すぎない温度でゆっくり中まで火を入れていくといったイメージで揚げます。
揚げて5分ぐらい経ち、全体にサックリと外側が硬くなってきたら、一度油から上げます。このままでも食べられると言えば食べられるんですけれど、一旦3~5分ぐらい置いて、もう一度揚げます。
なぜ2度揚げするのかというと、表面と内側に温度差があるからです。1度揚げて表面はサクサクでも、中はまだまだ水分が残っています。5分前後寝かせることで、中の水分がある程度表面に浮いてきて、2度揚げで残っていた水分が抜けます。
5分ほど経ったら2度揚げをします。2度揚げの温度は高めでも構いません。180℃前後を目安に揚げたらいいのかな。カラカラとした音になって、出てくる泡の量も少なくなりだしたら、中までしっかりと火が入っているはずです。
豆アジを油から上げたら、熱いうちに南蛮酢に浸け込みます。熱いうちに南蛮酢に漬け込む理由は、味の染み込みが早いからです。お酢をしっかりと骨までまわすために、熱いうちに南蛮酢に浸け込みます。
お酢につけたら、大体半日から一晩寝かせれば完成です。お酢につけると、どうしてもサクサクの食感はなくなってしまうんですけれど、カルシウムを溶かす効果があるお酢につけておくことで、アジの硬い骨が気にならないぐらい柔らかくなって、気持ちよく魚を食べることができます。
一晩たったら味が充分染みていると思います。
南蛮漬けの盛り付け方
お好きなように盛り付けて、お好きなようにお召し上がりください。よさげな器とよさげな食材とで彩りをつけながら盛り付ければいいと思います。
そのままでも充分美味しいんですけれど、アジとネギとトウガラシは同じような味になりやすいです。同じ地につけているので当然なんですけど、食べ飽きてくるので、薬味を添えてちょっと雰囲気を変えると、意外と食べ飽きない料理になります。
今回は生姜を添えました。味に飽きた時に生姜を多めにして食べると、飽きずに最後まで食べられるんじゃないかなと思います。
お好みでスダチなどの柑橘類を添えてもいいですし、白髪ネギを添えてもいいでしょう。香りや食感を加えてあげると、料理はまとまりやすいかなと思ったりします。
今回のYouTube動画
今回の記事は動画でも紹介しております。ぜひ、ご参照くださいませ。