いろいろな巻き寿司の握り方を紹介します。海苔の大きさや巻き方のコツを解説しています。
巻き寿司の準備
海苔
上の画像の海苔1枚が「全形」と呼ばれる大きさです。全国どこで買っても、全形と言えばこの大きさです。
全形の半分の大きさの海苔は「半裁」と言います。半裁の海苔くださいと言うと、細巻き用の海苔が出てきます。
ちなみに全形の海苔10枚を1帖という数え方をします。5帖というと、全形の海苔が50枚分という単位になります。
手酢
水に、ちょっとお酢を入れたものです。手にご飯がくっつくので、手酢を使いながらお寿司や細巻きを巻きます。
ワサビ
ワサビは、あってもなくても構いません。
巻き簾
巻き簾は、裏と表があります。ザラザラしたほうが裏で、ツルツルの平らなほうが表です。ちなみに上下もあって、タコ紐がついてるほうが上で、まとめられているほうが下になります。
細巻きの作り方
細巻きの海苔は、全形の半分の大きさ「半裁」を使って巻きます。太巻きも中巻きも裏巻きも、基本の細巻きをしっかり巻ければ巻けます。
かっぱ巻き
キュウリを切ります。かっぱ巻きは、キュウリをそのまま入れてもいいんですけど、スライスしてから入れると、口の中でキュウリがばらけて食感が楽しめます。細く切って巻いてもいいと思います。本当にこだわるなら、キュウリの種の部分を使わないとか、軽く塩もみをして水分を抜いてから巻くといいと思います。
まず、半裁の海苔を、巻き簾に横に置きます。ここで手酢をちょっと手につけてシャリを取ります。ある程度手の上で形を作ります。
海苔の上にシャリを伸ばしていきます。海苔の上に伸ばす時は、右手はシャリを押し出してる感じで、左手はそれをならしていくイメージで動かします。なるべく均一に伸ばせていると、この次の作業が楽になります。
ここから全体にご飯を広げていきます。まず左手で海苔の端に壁を作ります。そこから右手でシャリを下に引いていきます。
このときのポイントは、端にしっかりご飯を入れてあげることです。細巻きは、どうしても端の具やシャリが少なくなって、両端がスカスカになりやすいんです。なので、最初にしっかり壁を作って、シャリをしっかり伸ばすことで、全体に均一な細巻きになります。
最後は真ん中のシャリを両手で引いてきます。3手か4手ぐらいでシャリが全体に行き渡ります。
ワサビを塗って、具を入れていきます。好みで、大葉などを入れてもいいと思います。大葉を入れる場合は、敷き詰めた上に具を入れます。
具を入れすぎると、細巻きが巻ききれなくなります。逆に少なすぎると、バランスの悪い細巻きになります。海苔1枚に入るシャリの量と具の量は決まっています。
巻く食材によってシャリの量を多少調節すると、全部同じ太さの細巻きに巻けます。味が濃いものを巻く場合は、多少ご飯を多くして具を少なくするという形です。
海苔の端と巻き簾の端を合わせます。合わせないと、巻き簾にご飯粒が結構くっつきます。
手前の海苔の端を、上のシャリと海苔の境目ギリギリに持ってくるというイメージで巻きます。
巻き簾を親指でちょっとだけ上げて、残った指で具を軽く押さえます。押さえずにやると、具がバラバラとこぼれるので、ある程度安定させます。
親指を使って、巻き簾を返していきます。
シャリの量と中に入れたキュウリの量がしっかり合っていれば、海苔の端がギリギリご飯の余白に当たる形になります。
そうしたら、巻き簾をつけたまま、巻き簾の向こう面だけちょっと上げて、細巻き自体をもう半周倒します。
そうすると、細巻きになります。
細巻きは、基本的には四角い形にするものです。親指で手前、中指で奥、人差し指で上を押さえて、四角く形を作ります。
しっかり海苔同士がくっついていれば、バラバラに崩れてしまうことはありません。
切る時は、濡らしたサラシで軽く包丁を拭いてから切ると、包丁にシャリがくっつきません。端の具がどうしても多少はみ出すので、軽くトントンと両サイドを押してから切ってください。
切る時は、基本6巻切りなので、6個に切ります。まず半分にしてから、上下に並べて3等分にすると、細巻きができ上ります。
人によっては、上下に並べるときに切り口側をそろえて切る人もいますが、そうすると断面は逆になります。飾り切りなどで手前から黄色、赤、黄色、赤と並べたかったら、切り口はそろえずに切らないほうが、整った模様になります。
かんぴょう巻き
かんぴょうなどの汁気が多いものは、事前にある程度汁気を絞っておくと巻きやすいと思います。
巻き簾の下と海苔の下をそろえて、巻きます。
もう半周返して、最後ギュッとしめます。
かっぱ巻きの時は、上を人差し指でしめましたが、かんぴょう巻きや納豆巻きなどの上に丸みを残したい時は、上をしめずに、親指と中指だけで横をしめます。
かんぴょう巻きと納豆巻きは、多少丸みが残った状態で巻き上げます。
かんぴょう巻きと納豆巻きは、4つに切ります。なぜ4つに切るのかという明確な答えは、僕も分かりません。教えてもらった中では、寿司を置く木の付け台に立てて置くと具の跡が残るから、4つに切って横に並べたという話が一番しっくりきました。納豆も付け台にネバネバがついてイヤだから、4つに切って乗せるというのは理があると思います。
飾り巻きの作り方
お花に見立てた飾り巻きは、おぼろと玉子を用意します。おぼろは魚のすり身を炒って粉状にしたものです。エビで作れば、エビおぼろです。おぼろには黄色い着色のものもあります。黄色いおぼろは卵黄で色をつけることが多いと思います。
飾り切りも細巻きと一緒で、具を敷き詰めて、最後は三角形にしめます。そんなに難しくはない巻き方です。
玉子焼きとおぼろの色の境界がしっかりわかるように、おぼろをまとめて詰めると色がはっきり出て、きれいだと思います。細巻きと同じく、端にしっかり具を詰めます。
巻くときは、海苔の手前の端を奥のシャリと海苔の境目に持っていって、花びら1枚の形、涙型をイメージしながら巻きます。普段の細巻きは、四角い形を作りますが、今回は三角形をイメージしながら途中でしめます。
そして半周返して、また三角を作ります。三角は作りますが、奥のほうは、かんぴょう巻きみたいに山を残してあげるイメージで涙型にすると、花びら1枚の形になります。
裏が海苔でくっついていれば、しっかりまとまっています。
断面を見ると、わかりやすいんですけど、断面が涙型になるようにイメージしながら巻いていくといいと思います。
2つ重ねて、3等分にして合わせます。花びらの難しい点は、切る時に高さがズレると、最後に合わせた時に段差ができてしまいます。
1個1個を真ん中に寄せていくと、花ができます。お祝いの席などで作ると、可愛くてよいと思います。
中巻きの巻き方
中巻きを巻く時は、半裁の海苔を縦に使って巻いていきます。
太巻きはシャリをびっしりと詰めるイメージなんですけど、中巻きは、ある程度余白に余裕を持たせて巻いていきます。
中巻きのメリットは、巻き簾を使わずに巻き始めることができるんです。だから、同時に2本3本進めることができます。
同時に作り始められるので、お店のランチなどで大量に作らなきゃならない時に、オペレーションを組むのが楽なことが、中巻きの最大のメリットだと思います。
今回はトロたく、マグロの中落ちです。ネギトロには、ネギトロの素のような脂の塊みたいなものがあり、出しているお店もあります。そこは自分で判断して食べてください。
シャリを敷き詰めて、具を乗せたら、巻き簾を使わずに巻きます。手前のシャリの端を、全体の1/3のあたりに持っていくイメージです。
ご飯のついていない海苔の部分を、ちょっと巻き込むイメージで巻いていきます。
なんだかボヤッとした形になるので、最後に並べて、巻き簾で形を作ってあげます。
人によっては、四角く作る人もいますが、僕はかんぴょう巻きと一緒で、両サイドだけしめて上はちょっと丸く形を残して巻きます。手軽に負ける巻物です。
切る時は、4つ切りにする場合が多いです。2本巻いて、そろえて切れば早く作れます。
太巻きの巻き方
太巻きは、全形1枚で巻く人もいるんですけれど、全形1枚だと若干小さいかなという感じがするので、僕は半裁の半分の海苔を足して巻きます。
海苔と海苔をくっつける時は、ご飯をちょっと潰して、接着剤代わりにして海苔をつないでください。
ご飯の敷き詰め方は、細巻きと一緒です。量が増えただけで、端にしっかり入れるということと、全体を平らにならすということだけ守れば難しいことはありません。
ある程度、具をしっかり入れると思います。入れる具の量にもよるんですけれど、基本的に具は粘り気がないのでまとまりません。バラけやすい具を、ご飯でしっかりまとめるというイメージで、ごはんを入れる量を調節します。そうすると、切ったあとにボロボロ崩れない太巻きになります。
具を入れていきます。まずは飾り巻きの花びらに使った色付きのおぼろです。
次はゴマです、香り付けにかんぴょうやシイタケなどの甘いものを入れる場合は、意外とゴマと相性が良かったりします。
それから玉子です。太巻きを巻く時のコツは、奥のごはんを大体2~3㎝ぐらい残して、具を置くと巻やすいと思います。
玉子のサイドにキュウリとシイタケを置きます。シイタケは干しシイタケを醤油と砂糖で炊けば、比較的簡単にできます。既製品は保存性を高めるために味が濃くなっているので、家でサッと炊いただけでも充分シイタケは美味しいです。
かんぴょうを入れます。この辺は好みで何を入れてもいいと思います。
カニも入れます。太巻きはエビを入れることが多いですが、甘い系にはカニのほうが合うんじゃないかなと思います。アナゴもあれば入れてもいいでしょう。
ガリとタクアンも入れます。食感や塩気があるものを入れると、味が締まるという気がします。
巻く時は、細巻きと一緒です。海苔の下と巻き簾の下を合わせて、具の端に持っていくイメージで巻き込んでいきます。太巻きの場合は、ある程度強めにしめないと具がバラけるので、一度強めにギュッとしめます。
ギュッとしめたところから、半回転させます。かんぴょう巻きのように、四角にしないで、両サイドだけしめて上に丸みを残します。この時に、玉子の四角がしっかり真横にビシッと入っていると、かっこよくてきれいな太巻きになります。
太巻きはご飯と具が多くて、しめた時に両サイドからはみ出すので、サラシなど使ってギュッと押して戻してあげます。そうすると、味がしっかり決まった太巻きになります。上からも横からもしめたことになるので、崩れにくい太巻きになります。
太巻きを切る時は8等分です。真ん中で切れば8個になるので、比較的切りやすいです。両サイドはどうしても見た目が悪いので、真ん中同士を合わせると、きれいに見えると思います。太巻きは高さがあるので、意外とまっすぐ切るのが難しいです。
切ったときに、玉子が真ん中に来てたり、色が入ってたりすると、きれいなんじゃないかなと思います。
切ると最後に形がバラけてくるので、切ったあとにもう1回軽く巻き簾でしめるといいんじゃないかなと思います。
裏巻きの作り方
裏巻きは、カリフォルニアロールをイメージすると分かりやすいと思います。海苔を内側に巻いた巻き物です。飾り巻きの仲間です。
カリフォルニアロールというと、海外で発達したように思うんですけれど、裏巻きはもともとあります。海外の方が、海苔の黒い見た目を嫌がって、あまり食べてくれなかったので、裏巻きにしてみたところ、海外で広まりました。海外でマヨネーズやアボカドなどを入れて広まって、進化して逆輸入されたのがカリフォルニアロールではないかと思います。
今回入れるのは芽ネギです。裏巻きは特に難しくはありません。普通にご飯を伸ばして、ひっくり返して真ん中にご飯を敷いて具を乗せたら、あとは巻くだけです。
手で巻いたら、サラシでご飯がつかないようにして巻き簾で形を作ります。細巻きと中巻きとやってることは一緒です。
裏巻きの一番の特徴は、ご飯が外側にくることです。ご飯に飾りを付けられるというのは、結構メリットがあります。
例えば、トロロ昆布を周りにまぶすとワシャワシャとした見た目になります。トビッコをまぶしてあげれば、それこそカリフォルニアロールなんですけれど、子どもが好きそうな巻物になります。
今回のYouTube動画
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