商売柄、お客様の苦手な食べ物を聞く機会が多い訳ですが、シャコが苦手と言う方は意外と多いですね。
理由は様々ですが、見た目が苦手だとか、ドザエもんに。。。。みたいな理由がほとんどでして、味が苦手だとかアレルギーですだとか、そういった理由は聞いたことがありません。
まぁ苦手だと言ってるものについて、こちらから理由を掘り下げる程野暮では無いのでね。
確かなことは解りません。
シャコってのはその生態も面白いものがありまして、例えば、シャコのパンチ力はベンチプレス70kgにも相当すると言われていたり、シャコは生物の中で最多の12の光受容体を持つと言われております(生物の中で最も多くの光を確認できる)
エビと同様に甲殻類ではありますが、シャコはエビとは遠い遠い親戚と言う関係です。
そんなシャコですが、その味は人によってはエビより美味いと言うファンもいるくらいでして、江戸前鮨を代表する鮨ネタでもあります。
海辺にお住いの方は比較的、手にする機会も多い事と思いますし、鮨屋に勤めていれば、扱いは覚えておいて損は無いと思いますので、ここらでまとめてみたいと思います。
シャコの食べ方
シャコは浜茹でされた物が主に流通しまして、仕入れたら食べるだけの状態になっている場合も多いですが、活けのシャコもしっかり市場に出回ります。
活けのシャコは焼いても食べる事が出来ますが、香りと食感を楽しむならやはり塩茹ででしょう。
沸騰したお湯に入れ5〜10分、シャコが浮いてきたら茹で上がった印です。茹で上がったシャコはザルにあげましょう。
氷水に取ると身は殻から剥きやすくなりますが、若干水っぽくなります。私は氷水には取らずに、このまま冷まします。
頭をハサミで切り離し、殻を剥きますが、シャコはエビと異なり簡単には殻が向けません。また、シャコの身はエビよりもふっくらとしていて崩れ安いです。
写真のように、足を切り離し、殻の縁をなぞるようにハサミで切ってください。
すると自然と殻が外れます。
取り出した身は、もちろんわさび醤油でも美味しく食べることができますし、穴子のように甘ダレでも美味しく食べることが可能です。
また、ほとんど流通することはありませんが、シャコは爪も(通称シャコ爪)も美味しく食べる事が出来ます。
切り離した爪は、先端をハサミで切り
端を強く押してやれば簡単に取り出す事が出来ます。
いかがでしょうか。またシャコは産地によって特徴が大きく異なりますので、以下にシャコの産地別の特徴をまとめてみたいと思います。
シャコの産地別の特徴
- 愛知県産のシャコ
シャコの生産量が最も多いのが愛知県。市場では良く浜茹でされたものを見かける。大小様々な大きさのシャコが出回る。
- 岡山県や愛知などの瀬戸内のシャコ
瀬戸内のシャコも流通量自体は多い。大きさは比較的小さめなものが多く感じるが、味は悪く無い。安定した供給があるので、重宝する。
- 北海道産のシャコ
市場では殻付きのものが良く流通している。大きさがとにかく大きいのが特徴で、味は良い。殻の中に灰汁が溜まっている事も多いので、仕入れたら一度熱湯で洗う事をおすすめしている。
- 江戸前(小柴)のシャコ
シャコといえば江戸前しか食べないというお客がいるほど、小柴のシャコは有名。味、香り、大きさ共に一級品だが、流通量が極端に少なく、見かける機会はほとんどない。
シャコの旬と子持ちシャコ
シャコは一年を通して流通するが、雄と雌で若干楽しみ方が異なります。
理由はエビと違いシャコはその身に卵を抱えるからです。つまりシャコの雌は身と卵を同時に食べることになる訳ですね。
またシャコは他の魚介類と異なり年に2回抱卵します。抱卵する時期に合わせて雄も身に栄養を蓄えるので、シャコの旬は雄雌共にこの抱卵の時期ということになります。
- 5〜7月
春の終わりから初夏にかけて、これがシャコが1度目に抱卵する時期です。1回目の抱卵期なので秋の抱卵期よりも卵が多いと言われておりますが、実際には物によりけりといったところでしょう。この時期のシャコはエビより美味いなんて言われたりもします。
- 9〜11月
夏の終わりから冬の始まりにかけてもシャコは抱卵します。この時期のシャコも身が厚く、雄は秋のシャコの方が美味いなんて言われたりもします。
今回はシャコの生態について色々書きましたが、ま、こんな風に食材の生態を知るってのも、板前としてはいい経験になるのではないでしょうか。お客様との会話も弾みますしね。
ではでは、また次回。
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