ハモの骨の抜き方をご紹介します。骨切りをせず、骨を抜いてお刺身にします。ぜひ参考にしてさばいてくださいませ。
ハモの滑りの処理方法
西のほうでは夏の風物詩的な魚で、夏になったらハモを食べます。関東で秋になったらサンマを食べる感じで、西のほうではよく消費される魚です。ハモはすごく骨が多い魚で、通常は骨切りをして食べますが、今回は骨の抜き方をご紹介します。
扱った方は分かると思いますが、表面が滑りに覆われています。まずは滑りを処理します。
鍋にお湯を沸かして、少しだけ水を加えて85℃ぐらいの熱湯を用意します。ハモの身全体を熱湯に5秒から10秒程度くぐらせます。
そのあと氷水にとります。そうすると表面の滑りが白く浮いてきます。
白く浮いてきた滑りをタワシなどでこすって落とします。こするとタワシ側に滑りが付いて、表面の滑りが落ちます。水洗いをします。
お湯に通したので、表面の滑りはしっかりと落ちていると思います。
ハモのお刺身は皮付きで刺身にする場合と、皮を引いて刺身にする場合の2通りがあります。皮を引いて刺身にする場合は、このままさばきます。
皮付きのまま刺身にする場合は、もう1回お湯にくぐらせます。2回目に通す時は、ちょっと温度が高めです。沸騰して火を止めた95℃~98℃ぐらいのお湯に、大体10秒程度通すようにしてください。
ハモの皮は非常に厚くて硬い皮なので、さばいたあとにもう1回火を入れてもいいです。でも、さばいたあとだと身に火が強く入ってしまうので、さばく前に2回湯引きをして表面の皮を柔らかくしておきます。
1回目に落としきれなかった滑りが浮いてくるので、再度滑りをよく落とします。
ハモのさばき方
まずは頭を落として、腹を開いて内臓を抜きます。頭が付いたままおろす方法もありますが、僕の場合は頭を落としてさばきます。
内臓の抜き方に多少ポイントがあります。通常はヘソの部分から頭側の腹を開いて内臓を抜きますが、ハモはヘソよりも尻尾側に内臓が詰まっています。
ヘソより尻尾側に、血合いが終わる位置まで腹を開きます。
続いて、ヘソより頭側のお腹も開きます。釣り針がある場合があるので、充分注意してください。
内臓は腹膜をつかんで引っ張ると、血合いもついてきてきれいに内臓が取れます。
血合いがきれいに取り切れなかったら、骨抜きなどでつまんで引っ張ると取れます。内臓が取れたら、腹の中を水洗いします。
もし卵があったら、取り置いて昆布締めなどにして食べると美味しいと思います。
腹開きの仕方
ハモは腹開きにすることが多いです。腹開きのコツは、ハモの骨が三角形の部分と平らな部分があるというのを意識することです。
まず尻尾の部分を開きます。尻尾の部分は平らな骨なので、通常の腹開きです。骨に沿って包丁を走らせれば、自然と開きます。なので尻尾側はさほど難しい作業ではないと思います。
続いて頭側を開きます。頭を開く際のポイントは、ハモの骨が三角形であることを意識することです。
上の画像のように、ハモをおろすときは、通常の3枚おろしよりも包丁を立てて切り進めます。
骨の入り口を見つけたら、なるべく包丁を立てて、三角形の骨を意識しながら包丁を進めます。尻尾のほうまでくると、先ほど開いた部分と繋がります。
あとは、ヒレのキワまでゆっくりと包丁を進めて開きます。なるべく切り口がデコボコにならないように開いてください。
続いて皮側の身を外します。皮側の身を外す時も一緒で、尻尾側から包丁を入れて骨が平らな部分を開きます。
先程と同様に、三角形の骨の部分は包丁を立てて、切り進めていきます。
骨をつけたまま開く方法もありますが、一旦骨は切り離してしまって問題ありません。中骨の三角形の角度に合わせて、最初に切り離してしまいます。
中骨は外れますが、背ビレの骨がまだ残っています。ハモ自体が長くて扱いづらいので、作業しやすい角度にハモを置いて背ビレの骨をすき取ります。出刃包丁でもいいですが、僕は柳葉包丁を使います。
ハモを開きで大きく使いたい場合は、背ビレを抜いて細かい硬い骨を抜きます。今回は刺身で片身ずつ使うので、身を半分に渡します。
半分に渡したら、背ビレの硬い骨を切り離します。
通常の魚と同様に、アバラ骨と腹膜をすき取ってはずします。鮮度のよい魚を刺身にすると思うので、身の弾力が強くてプルプルと包丁を跳ね返してくるような感覚があると思います。力を入れすぎて手を切らないように、注意しながら作業をしてください。
胸ビレが残っているので、胸ビレの位置で切り離します。
さばいたハモの頭や中骨や腹膜などの端材は、非常に美味しい出汁が出ます。湯引きして汚れを落としてお吸い物にすると、非常に美味しく食べられます。
ハモの骨の抜き方
ハモの骨を抜く作業がしづらいので、ハモの身を半分に渡します。
ハモの骨がどういった形で身に入っているのかを知らないと、なかなか抜くことができません。上の画像は、ハモの断面です。下を皮目にして、右がアバラ骨をすいた腹側、左が背ビレの付いていた背中側です。
ハモの骨は、腹側と背中側に2本骨が入っています。表面に出ている骨で、触るとわかります。
なぜハモの骨が抜けないのかというと、返しが付いていてY字の骨になっているからです。表面に出ている2本だけは触るとわかりますが、中の太い骨は確認することができません。この構造を理解できれば、意外と骨を抜くことは簡単です。
結論からいうと、ハモの骨は上から抜きません。上の画像の矢印のように包丁を入れていき、骨を浮かせてから、骨抜きを使って赤丸の位置から骨を引っ張って抜きます。
また、身の真ん中に結構強めの筋があります。調理する際はこの筋のことも意識するといいと思います。
背中側の骨は触れば分かりやすくて、白く点々とあります。
腹側は触っても分かりづらいですが、身から透けて白く点々と骨が見えます。
骨の外側に包丁を入れながら身を開いていきます。身を開く際は、まず骨の外側のラインに切り込みを入れます。
次に、身を開くように包丁を動かしながら、骨の先端を探ります。
包丁で開くと、骨の先端の白い点々が見えます。
骨の先端から折り返して包丁を入れて、骨を浮かせます。作業しやすいように身の位置を入れ替えたりしながら、骨を浮かせるように包丁を入れてください。骨のキワに包丁を入れないと、抜く時に結構身がついてきてしまいます。
骨が浮いてきたら、骨の先端を持って骨抜きで引き抜きます。
上の画像は、背中側の骨だけです。これだけの骨が詰まっているので、ハモは骨切りしないと食べられない魚といわれています。
お腹側の骨も同じように作業をします。
ハモの身の真ん中にある硬い筋を取ります。背と腹の境目の白い部分です。
非常に硬い筋なので、外すか、軽く切れ目を入れて刺身にします。軽く切れ目を入れると、食感は残るんですが、骨切りとあまり変わらない切り方になります。なので、真ん中のスジの間で身を渡して、筋を外して刺身で食べるのがよいかな。
ハモの刺身の食べ方
食べよい大きさに切って食べますが、ハモの大きさやものによって、2回火を通しても皮目が全然噛み切れない場合があります。
皮目が硬い場合は、火を入れてから食べるようにしてください。理想は2回目のお湯をした状態で、皮が充分に柔らかくなることです。食べてみて硬い場合は、炙るしかないと思います。軽く火で炙って、2回目の湯引きをします。
2回目の湯引きの時間を調整して生で食べたり、湯引きを1回にして皮を包丁で引いて食べたりと、色々な食べ方ができます。お好きなように調整してお召し上がりくださいませ。
梅肉でも、ワサビと醤油でも、スダチと塩でも美味しいです。お好みでお召し上がりください。
ハモの骨の抜き方を紹介しました。ぜひ参考にして、さばいてみてくださいませ。
今回のYouTube動画
今回の記事は動画でも紹介しております。ぜひ、ご参照くださいませ。