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【12kg超のブリを捌く】大型の魚の捌き方・保存方法

12キロのブリを使って、捌き方や刺身の切り方をご紹介します。一度に食べきれない大型魚なので保存方法を参考に、カブトの煮付けなども楽しんでみてください。

目次

ブリの捌き方

ブリの鱗の落とし方

ウロコはすき引きにします。すき引きにする際はヒレがジャマになる場合が多いので、ハサミで切り落としてしまいます。腹ビレは結構骨が太くてなかなか切り落とせなかったりするので、力のいる作業になります。あまりに硬くて落とせない場合は、ヒレ付きのまま作業を進めてもいいのかなと思います。

ヒレを落としたらウロコをすきます。ブリはアジに近い魚なので1本ゼイゴが入っています。ゼイゴに沿ってウロコをすき引きして、それから全体を引いていくと作業しやすいと思います。

すき引きのコツは、なるべく力を入れずに包丁を上下に動かすイメージです。力はほとんど入れずに前後に動かす動作だけで切り進めていくイメージで作業をすると、比較的きれいにすき引きができます。

ブリは、ブリ大根、照り焼き、塩焼きなどの加熱調理に使う場合が多いと思います。加熱調理は皮付きのまま調理することが多いですが、金ダワシでウロコを取ってしまうとすき引きをするより皮が厚く残ります。加熱調理にする際は、すき引きでウロコを引いたほうが食べた時の食感は美味しいのかなと思います。手間ではあるんですけれど、なるべくすき引きにしたほうが料理のでき上がりはいいのかな。

すき引きを胴体だけでやめてしまいたくなるんですけれど、顔にもしっかりウロコが残っているので、顔のキワまでウロコは引くようにしてください。

背中のラインはウロコがないように見えるんですけれど、びっしりとウロコが繋がったような状態になっています。金ダワシだと取りきれないので、包丁でウロコをはぐようにしてください。

ブリはお腹側のほうがウロコが薄く、すき引きする時に力を入れると皮を削って身がむき出しになってしまうので、慎重にちょっと気を使いながら作業をすると良いのかな。

ウロコの厚さが違うということを知っておくと、すき引きを失敗することも減るのかなと思います。

胸ビレの内側あたりも、すき引きせずに落としてしまうことが多いです。ブリカマを食べる際に、硬いウロコが残っていないほうが食べやすいと思いますので、ここもきれいに落とすようにしてくださいませ。

速く泳げる魚には、ヒレをしまうときれいな流線形になるへこみがお腹にあります。この部分はウロコを取るのは不可能です。

ブリの頭の落とし方

ウロコを取ったら、腹ビレのラインに包丁を入れて胸ビレのラインで頭を落とします。ブリカマで一品料理を作るつもりならば、カマは大きく残してもいいのかな。

大きな魚は、なるべく刃の強い出刃を使いたいですが、中骨を落とす際も関節の間に包丁が入れば、そこまで力を入れずとも頭は切り離せますので、意識しながらさばくと良いと思います。

ヘソから包丁を入れまして内臓をかき出して、血合いを洗います。頭を切る際に、内臓を切り離していなければ、頭を引っ張ると内臓も一緒に抜くことができます。

内臓をかき出して、血合いに何本か包丁を入れたら魚体を水洗いします。血合いをきれいに洗い流しましたら、ブリをおろしていきます。

ブリの3枚おろしの仕方

ブリのおろし方は、ごく一般的な3枚おろしです。大きさが違うだけで、やってることはアジのおろし方と同じで、そんなに難しいことはやっていません。中骨のラインまで包丁を入れましたら、続いて背中側にも包丁を入れていきます。

意外かもしれませんが、僕はブリを数えるほどしかおろしたことがありません。理由は2つあります。ブリは腹と背に分けて売られていて、腹と背で身質が全然違うんです。お店によって扱いたい部位が異なっているので、腹だけしか買わないとか背だけしか買わないとかマルからおろすという経験は意外としていない板前さんが多いんではないかと思います。

大型の魚の場合は裏おろしといって骨を上に向けたままおろしたほうがおろしやすかったりします。骨を上に向けて、包丁をちょっと上に力を入れながらさばいていくさばき方をする場合が多いです。

もし場所が確保できるのであれば、骨付きの状態で冷蔵庫に入れるのがいいとは思うんですけれど、なかなかブリが入るような大きさの冷蔵庫は一般の家庭にはないと思いますので、のちほど、さばいた状態でどう保存するのかを紹介します。

背中側も中骨のラインまで包丁が入りましたら、最後は中骨の真上のラインの身を切り離します。お腹のラインまで来たら包丁を出して、最後にアバラ骨を断ち切ります。

ブリは意外と虫の多い魚で、身にキズがある場合、結構虫が入っています。キズを見かけたら注意深く中を探してみてください。虫は1か所に3~4匹が寄生している場合が多いので、1匹取ったからといって安心せずに注意深く確認してください。

血がにじんでいる場所はわけのわからない虫が入ってることが多いので、残念ですが生食はせず、あまりにひどい場合は食べないほうがいいと思います。

魚のスジがなんとなく虫っぽく見えてしまうんですけれど、スジを無理やり引っ張ると身がどんどん割れていくので、魚のスジを虫だと思って無理に引き抜かないようにしてください。

ブリの長期保存の方法

基本的に、血というのは悪くなりやすくニオイが出ます。腹膜の中には血管があって血が溜まっているので、最初に押し出してください。3枚におろす前の腹膜を取る段階、腹膜と血合いを落とす段階で抜け切れればいいんですけれど、細かいところには血が残りやすいので残っている血はなるべく抜きます。

血をしっかりと抜いた状態で、ここから魚をバラします。バラす時は血合い骨の位置で半分に割ってください。

身にキズがあり虫がいた場所は身の奥に入り込んでる場合があるので、半分に渡した側面から結構見えたりします。血合いの中に虫がいないかを確認してください。

背と腹に分けたら、血合いをある程度削り取ります。長期保存をすると血合いのところからニオイが出やすいためです。血合いを完全に外すと食べる時に表面をトリミングする際に、どんどん食べるところがなくなってしまうので、そのさじ加減は感覚で覚えてください。

血が濃そうな部分は大方はずして、適当な大きさに切り分けます。腹側もうっすらと血合いをはずします。

腹側は、腹膜とアバラ骨はついたまま適当な大きさに切り分けてください。

切り分けたら、身をペーパーで包みます。包んだ段階でペーパーが湿るようであればペーパーを取り外して、新しいペーパーで包みなおしてください。

それをビニール袋に入れます。氷水を用意して、氷水の中にビニール袋を沈めます。この時に、口は閉じずに袋の下のほうから順々に沈めていくと自然と空気が抜けて、普通に空気がゆるゆるに入っているよりは酸化しにくくなります。空気を抜いた状態で口を閉じます。

もし、真空器を持っている方は、弱めの真空で空気を抜くといいのかな。あまり強めの真空で空気を抜くと身が押しつぶされちゃいます。弱めの真空で、なるべく空気に触れないようにします。

上から氷をのせて、魚が浮かないようにしっかりと沈めるようにして保存します。

1日経つと、魚から水分が出てペーパーが濡れてくると思いますので、ペーパーは1日ごとこまめに交換して、氷を足してしっかりと冷えるようにしながら魚を保存します。

魚に臭いが出やすいのは血はもちろんなんですけれど、ウロコがちょっとでも残ってるとすぐに臭いが出ます。最初のすき引きとか血合いの掃除とか、地味な作業をしっかりとやると魚の持ちが良くなります。

氷水に浸けた状態で5日ほど保存したブリは、表面が酸化してだいぶ美味しくなさそうな色をしています。でも表面を削るとピンク色のきれいな色をしています。色を見てニオイを嗅いでみて、違和感がないようであれば、まだまだ生食できます。

多少判断するのに経験は必要なんですけれど、人に提供するのではなく自分で食べるぶんには自己責任でご判断ください。

ブリの身質

上の写真を見てわかる通り、ブリのお腹と背中は身質が全然違います。お腹は脂が乗って白っぽい身質をしていて、背中は脂が少ないので赤っぽい身質をしています。

背中も白っぽいプリもいるんですけれど、それは99%養殖のブリです。養殖のブリは、背中もカチカチに脂が乗るので真っ白な身質をしています。お腹の中でも尻尾寄りの部分は、脂が抜けてきて赤っぽい身質になっています。

刺身の切り方

血合いと腹膜を削るというのは直感的に分かるとは思うんですけれど、側面もしっかり削ってから食べるようにしてください。

虫が入っていたところや臭いが気になる場合は、生食せずにしっかりと火を入れてお召し上がりください。

大型のブリだと柵が長くなりやすいので、お腹の1番脂の強い位置で切り離してからお刺身を作ります。

皮を引いてからお刺身にすることが多いと思うんですけれど、皮付きのままお刺身を切る場合は、皮のギリギリまで包丁を入れて包丁をスライドするという切り方もあります。この切り方のメリットは、残った身を皮付きのまま保存できることです。

皮を引くと皮を引いた面もどんどん酸化していってしまうので、いっぺんに使わない場合は必要なぶんだけ切ってから皮を切り落としてまた保存するという使い方もあったりします。

切り落としたお腹の先端の部分は、ブリトロと呼ばれる部分です。マグロでいう大トロの部分というのかな。1番脂の強い部分でもちろん美味しいので、好きなように切り出してお刺身にしてお召し上がりください。

脂分が多くてどうしてもクドくなりやすいので、お刺身にする際のポイントとしては、ちょっと小さめに切ることです。脂の強い部分は醤油をはじいてしまって味が乗りにくいので、包丁目を入れておくと醤油の絡みが良くなったりします。

今回ご紹介したブリは5日ほど寝かせましたが、仕入れた魚の鮮度、魚のしめ方(活け締めなのか野締めなのか)で何日寝かせられるか変わります。また保存する温度でも変わるので、確実に何日間寝かせられるという方法はありません。

食べる時はしっかりと生食できるのか火を入れたほうがいいのかという判断をして、美味しく魚を召し上がってください。

今回のYouTube動画

今回の記事は、動画でも紹介しております。ぜひ、ご参照くださいませ。

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