秋から冬にかけて美味しくなるサバの藁焼きを作ります。ちょっと違った食べ方を楽しんでみてくださいませ。
サバの種類
日本の食卓に並ぶサバは、主に3種類あります。マサバ・ゴマサバ・ノルウェーサバです。今日さばくサバは マサバで、秋から冬にかけて身に脂が乗るサバです。
サバのさばき方
サバの下処理
普段、魚の頭を落とす際は、ヒレのラインでカマ骨を一緒に落とす場合が多いと思います。しかしサバの場合は、身が非常に柔らかく身割れしやすいので、カマ骨を身に残したままさばきます。骨が残り身の支えが増えるので、さばいている最中に身が割れることが少なくなります。
頭を落としたら、ヘソからお腹を割いて内臓をかき出します。内臓をかき出したら、中骨の辺りの血合いに傷をつけます。無理に身を開いて中をのぞいたりせずに、なるべく水揚げした状態の形から動かさないように丁寧に扱ってください。
サバを水洗いします。水洗いする際に、血合いを歯ブラシなどで軽く擦ると、きれいに落とせます。魚用に1本歯ブラシを用意しておくとよいと思います。
内臓をきれいに洗ったら、軽く水気を拭き取ります。
下の身のおろし方
まず下の身を、一般的な3枚おろしと同じようにおろします。頭を右に向けて、お腹から包丁を入れます。
身を反転させて、今度は背中から包丁を入れます。サバのように身割れしやすい魚は、包丁を2~3回くらいの少ない回数で、しっかりと中骨のラインまで包丁の切先が届くように入れます。そうすると身割れの可能性が低くなります。
中骨まで包丁が入ったら、一度尻尾の方向に向けて包丁を入れます。
それから頭に向かって、アバラ骨を断ち切ります。
下の身がおろせました。
上の身のおろし方ー裏おろしー
続いて上の身をおろします。一般的な3枚おろしの上の身は、頭を右に向けて背中から包丁を入れて、身を反転させてお腹をおろしていきます。しかし、サバのように身が割れやすい魚の場合は、「裏おろし」という骨を上にしたままおろす方法でおろします。
骨を上にして頭は左に向けて、背骨のラインに1本薄く包丁を入れます。
次に中骨のラインまで包丁を入れていきます。この際に、左手でしっかりと中骨を下に押さえて、包丁はちょっと上に力を入れながら切り進めていきます。骨を1枚隔てて包丁と手が重なり合うので若干怖いんですが、しっかり力を加減して切り進めれば怪我をすることはありません。左手の押さえが甘いと身がきれいにおろせないので、左手はしっかり押さえるということを意識して切り進めてください。
中骨のラインまで包丁が入ったら、骨を下にしてお腹側に包丁を入れます。
お腹側も中骨のラインまで包丁が入ったら、尻尾側に包丁を抜きます。
そこからアバラ骨を切り離します。最後に尻尾のつなぎ目を包丁で外したら、3枚おろしの完成です。
このまま身を使ってもいいんですけれど、サバの尻尾に近い部分は脂も乗っていなくてスジも強いので、お店で使う場合は切り落としてまかないに回しています。
醤油への漬け方
今回はサバを一度醤油に浸け込んでから藁でいぶすので、この状態で醤油に浸け込みます。
醤油とみりんをベースに、適度に酒で薄めた地を作ります。醤油2、みりん2、酒1ぐらいの割合です。
地に浸け込んで上からペーパーを落として、このまま1時間程度冷蔵庫でサバを醤油に浸け込みます。
地に浸けて1時間ほど経ったらサバの身をざるに上げて、身の回りの水気をサッと拭き取ります。
冷凍の方法
そのまま調理してしまう方もいますが、サバはアニサキスという寄生虫が身に入っていて、寄生虫を食べてしまうと胃に激痛が走ります。食中毒の多い魚なので、お店で使う場合はここで身を冷凍します。
サバの身をラップに包んで、冷凍庫で保存します。
使う際は冷凍庫から取り出して、解凍してから調理します。一度冷凍するとアニサキスの心配はなくなります。
サバの燻し方
骨の下処理
サバを燻す前に、腹ビレとカマ骨を包丁で落として、アバラ骨をかいていきます。この作業は基本的に醤油に浸け込んだあとがお勧めです。理由はサバの身が非常に割れやすいからです。醤油に浸けることで身の水分が抜けてサバの身が締まります。そうすると身割れの心配はほぼなくなります。
締めたあとだと骨を抜いても全然身が崩れることなく、きれいな状態で料理することができます。
串の打ち方
燻す際は、適当な大きさにサバを切り分けて、皮目に適当に包丁を入れます。
サバのお腹の身の薄い部分は、軽く丸め込んでから串を打ちます。形がきれいにまとまります。
燻し方
一斗缶などに藁を入れて、先程のサバを藁の上にセットします。藁に火をつけると凄い量の煙が出るので、室内ではやらないほうがいいと思います。お店は大きい換気扇が付いているので室内でもできますが、家庭用の換気扇だと煙を吸い切らないので煙に注意してください。
藁に火をつけます。メラメラと炎が上がってきたら、ボウルなどをかぶせます。煙がボウルの中に充満して、藁の香りがサバにつくように燻します。
当然ですが、ボウルで蓋をすると中の酸素が少なくて火が消えて、煙が止まってしまいます。そういった場合は、もう一度藁に火をつけて、しっかりとモクモクと煙が出るように調整します。
充分に藁が燃えて、しっかりと煙がサバにまとわりつくと、ちょっと表面が茶色く煙で燻された感じになり、充分に藁の香りがついていると思います。色味を目安に燻してください。あまり長い時間燻すと、身に火が入り過ぎてしまいます。その辺の加減は、やりつつ覚えてください。
サバの藁焼きの盛り付け方
串を外して切り分けます。あまり薄く切らずに、しっかりと食感が残るように多少大きめに切ります。
薬味はワサビでも生姜でも合うと思いますが、今回は山ワサビです。山ワサビというのは、ホースラディッシュのことです。よくローストビーフに添えられているホースラディッシュは、国産だと山ワサビという名前で流通しています。ホースラディッシュというと海外のものの気がしてしまいますが、山ワサビは北海道でも結構採れます。薬味として添えても美味しいので、サバの藁焼きに添えて食べてみます。
柑橘類なども相性がよいので、スダチを器の端に乗せてもよいかな。この辺は好みでお好きな味でお召し上がりください。
今回のYouTube動画
今回の記事は動画でも紹介しております。ぜひ、ご参照くださいませ。