ウニの種類や流通の違い、海苔付きと海苔なしのお寿司をご紹介いたします。
ウニの種類
国内で流通するウニは、大きく3種類あります。ムラサキウニとバフンウニ、それから豊洲で流通するのは夏場のごく一部というちょっと小粒のアカウニです。
主な産地は、アカウニは淡路とか九州とか西のほうで、ムラサキウニやバフンウニは北海道とか青森、岩手、北の寒い地域です。
ひとつ注意しなければいけないのは、ムラサキウニはお店によっては白ウニという表現をするんです。ムラサキウニを白ウニと表現するのに対して、バフンウニを赤ウニと表現することがあります。そうなると、バフンウニも赤ウニ、アカウニもアカウニなので、アカウニという表記がバフンウニなのかアカウニなのかは若干怪しいところです。アカウニは比較的粒が小さいので、食べ慣れていれば分かると思います。わからなかったらお店の方に確認してください。
なぜ、ムラサキウニを白ウニ、バフンウニを赤ウニと表現するのかと言いますと、バフンウニを漢字で書くと馬の糞のウニと書くんです。食事中のメニューに表記するには、とても品のない表現ということで色の違いで表現します。ムラサキウニはちょっと分かりにくいんですけれど、バフンウニに比べて若干白っぽいので、紅白で縁起も担いで白と赤という表現をするようになっています。
ウニの流通
夏場はカラ付きのイガの状態でも流通するんですけれど、基本的な流通の手段は、板に乗った状態と塩水に浸かった状態の2種類で流通します。
味の違いは、塩水ウニのほうが獲りたてに近いフレッシュな味わいです。塩水ウニの状態だと、塩水から上げて2日もするとドロドロに溶けてしまいます。板ウニの場合はとろけを防止するために、薄めのミョウバンにつけてから板に乗せています。
ミョウバンの効果でとろけるのを防いでいるんですけれど、ミョウバンは独特の苦味があるので、ウニが苦くて嫌いという方はウニの苦味というよりもミョウバンの苦味が苦手という場合が多いです。
ミョウバンを使っていないぶん塩水ウニは期限が早く、板ウニは業者やメーカーによって、どれだけミョウバンを使ったかによって賞味期限の長さが変化します。
板ウニは塩水ウニに比べて品質の劣るウニという印象を持つかもしれないんですけれど、ミョウバンを使っていない無添加の板ウニも、市場には流通しています。
同じ無添加同士で、塩水ウニと板ウニを比べた場合、塩水ウニは当然水分が多いのでみずみずしさとかフレッシュ感を味わえます。板ウニはある程度水分が切れた状態で流通するので、ウニの味が濃い目に感じます。
ウニはウニの卵巣?
ウニをウニの卵巣の部分だと思っている方が多いんですけれど、ウニは卵巣と精巣が混ざって入っています。卵巣と精巣の見分け方は、オレンジがかった部位は卵巣で、ちょっと白っぽい部位は精巣です。当然ながら卵巣と精巣を分けた状態で箱に並べられたものもありますが、手間がかかるぶん値段は高くなりやすいです。
卵巣と精巣の味の違いは白子と卵の味の違いに近くて、一般にオスの白の精巣のほうが美味しいと言われる場合が多いです。
ウニの握り方
ウニをお寿司にする際に、軍艦や手巻きのように海苔と一緒にするのか、ウニとシャリだけの握りにするのかについて、僕なりの考えをちょっとお話しします。
ムラサキウニとバフンウニを比べた場合、ムラサキウニは香りを楽しむウニといった印象です。一方、バフンウニのほうは香りを楽しむというよりも、甘みを楽しむウニです。
お寿司にする際には、ムラサキウニの磯っぽい香りが非常に海苔と相性がいいので、軍艦や手巻きにする場合は、ムラサキウニを使って海苔の風味とウニの風味を楽しんでいただいています。
バフンウニはムラサキウニほど香りが強くないので、海苔と一緒に食べるとバフンウニが持っている香りが海苔の香りに負けて、隠れてしまいやすいです。
なので、僕の場合はバフンウニは海苔を使わずに、握りとして提供しています。しっかりと乾いているウニなら、握っても形が崩れずにお寿司の形になりますので握りも存在します。
塩水ウニは一度真水で洗って、ペーパーで水を切ってから使います。塩水ウニは板ウニに比べて柔らかいので、海苔なしで提供する場合はシャリ玉の上面を平らにならしてからウニを乗せます。ウニを握るってなんとなくかっこいいんですけれど、無理に握らずとも、こういったお寿司の作り方もあります。
アカウニは、味も濃く香りもいいというバフンウニとムラサキウニの良さを凝縮したようなウニなんです。海苔を使ってももちろん美味しいですし、海苔なしで提供しても美味しいです。
下世話ではあるんですけれど、お値段の話をするとアカウニが圧倒的に高いです。お店で頼むと、おそらく安くても一貫3千円はします。高いお店だと一貫5千円とか6千円でやりとりされます。
お任せのお寿司屋さんで、アカウニが出てきて美味しいからといって2貫3貫食べてしまうと、お会計はウニだけで1万円2万円とついている場合があるので、頼みすぎにはご注意ください。
お寿司屋さんに行って、海苔ありで出てきたり海苔なしで出てきたりします。職人さんそれぞれにこだわりがあってその方法で提供していると思いますので、その辺を職人さんに聞いてみると面白いお話が聞けるかもしれません。
今回のYouTube動画
今回の記事は、動画でも紹介しております。ぜひ、ご参照くださいませ。