赤貝のむき方とさばき方、お寿司の握り2種類をご紹介します。
赤貝とは?
赤貝といえば、お寿司の代表みたいなイメージがありますが、流通の大半は外国産のものでまかなわれています。国産の赤貝は、超がつくほどの高級貝です。輸入ものとしては、中国や韓国のものが主流になっています。中国産や韓国産といっても殻付きのまま生きた状態で市場に届きます。韓国産のある程度色のきれいな大きさのしっかりしたものは1玉250円ぐらいするので、結構な値段のする高級貝です。
赤貝の産地は?
国産の産地として有名なのは、東北の閖上の赤貝が超一流ブランドです。身も良くて香りもいいので、高値で取引されています。兵庫や北海道でも結構大玉な赤貝が流通しますし、九州や山口県産の赤貝も出回っています。国産のものは1玉700円以上してしまうものがほとんどです。国産の赤貝をお店で食べると1000円~2000円してしまいます。
赤貝の呼び名は?
市場では、赤貝でなく「本玉」と呼ばれています。伝票にも本玉と書かれていることが多いです。むいた状態でもしばらく生きているので、むいた状態で市場から仕入れることもできます。「むき玉」といって仕入れると、殻をむいた状態でお店に届きます。
赤貝のむき方
貝のむき方は何パターンかあります。貝をむくとき、多くの場合は貝の口側から貝むきを入れてむきますが、赤貝は背中側に貝むきを引っかけて、貝殻をずらしてむきます。
ずらす時に割れた場合は割れた部分から貝むきを入れます。2か所に貝柱があるので、背中側から1か所の貝柱を断ち切って、開いた口からヒモをはずして、残った貝柱をはずしてむきます。
貝殻が前後にずれた場合は、口側から貝むきを入れて両サイドの貝柱をはずします。赤貝は背中側でも貝にくっついているので、貝の一番奥まった部分をちょっと貝むきで軽くこするとストンと身が落ちます。
赤貝はむくと血みたいな赤い汁が出てきます。生命力の強い貝なので、殻をむいた状態でもむいた汁に浸けておくと1日2日は身がしっかりと生きています。この状態で止めておくことを、板前は「血止め」と言ったりします。赤貝を入荷して血止めしておいてと言われたら、殻だけむいた状態で保存しておくことを言います。
赤貝のさばき方
赤貝のさばき方は比較的簡単です。まずはヒモと身を分けます。ヒモを包丁で押さえて身のほうを引っ張り、ヒモを包丁で切ります。
身のさばき方
赤貝の身をさばく時は、キモが詰まっているほうから包丁を入れて、半分に開きます。半分に開くと、両サイドにキモがついているので包丁でこそげ取ります。包丁を斜に入れて、こそげとるようなイメージです。
赤貝は生食する場合が多いですが、キモが毒性を帯びている場合が多いので、残ったキモはきれいに掃除してからお召し上がりください。
開く時の注意点は、左右の厚みを揃えることです。揃っていないと握りにした際に不恰好な握りになりますので、なるべく身の中央に包丁を入れるようにしてきれいに真ん中で開くようにしてください。
ヒモのさばき方
ヒモのさばき方も特に難しいことはなく、ヒモを広げてエラを切り離すといったイメージです。薄い膜がついているので、膜を取ってヒモの縁の汚れを掃除して洗います。
これでヒモの下処理を終わりにする場合も多いのですが、赤貝はヒモのつなぎ目に砂がたまりやすいので、軽く包丁を入れておくと食べた時に砂が口に入りません。一工程増えるので、手間は増えてしまうんですけれど、美味しく食べられると思いますので、必ず掃除をしてから召し上がるようにしてください。
ヌメリの取り方
身とヒモの処理ができたら、塩でもんで貝のヌメリをとります。ヌメリの落とし方は、たっぷりの塩を振って揉みます。活きのいい赤貝なら身が縮みます。ここで身が縮まないような赤貝は生食しないほうがいいのかな。しっかり身が生きている貝を食べるようにしてください。
ヌメリが出てくるので水で塩を洗い流します。洗い流したら、お酢を少し加えた氷水に通してヌメリを完全に落とします。人によっては、お酢ではなくてレモン汁を使う方もいます。柑橘の爽やかな香りをつけたければレモン水で洗うといいでしょう。
ヌメリを落としたら、ヒモの掃除しきれなかった汚れを確認します。まだ汚れが残っているようなら、汚れをきれいに落とします。
お寿司にするにしてもお刺身にするにしても、水気が残っていると水っぽい味になってしまいますので、水気を拭き取ります。ヌメリを落としても2時間3時間経つと、また貝の表面にヌメリが浮いてきてしまいますので、なるべく食べる直前にヌメリを落とす作業は行ってください。塩でもんで酢に浸けるので貝が弱っていきます。貝の鮮度を保つという意味でも、ヌメリ落としは直前にしたほうが美味しく食べられます。
赤貝の寿司の握り方
赤貝の代表的なお寿司の握り方は、2種類あります。どちらの切りつけでもいいと思います。ひとつは赤貝に対してタテに包丁目を入れる方法です。両サイドに4本か5本くらい包丁を入れて握る方法です。模様が入って可愛い感じの握りになります。
もうひとつは、キモが入っていた身の厚いほうに包丁入れてから握る方法です。このまま握る方もいれば、真ん中にもう1本包丁を入れてから握る方もいたりします。ちょっとこじゃれた見た目になります。包丁の細かさや包丁のきかせ方がいかにもプロといった形で、エッジがきいていていいのかなと思います。
僕は、基本的にはタテに目を入れた方法で握ることが多いです。その理由は、包丁が均一に全体に入っていたほうが口に入れた時のばらけ方がいいかなと思っているからです。
赤貝は反り返ってくるので握りづらく、握った時のシャリとネタの一体感を考えると、下を切り開いたほうは赤貝がシャリから浮きやすいんです。僕はなるべく一体感の出やすいタテに目を入れる方法で握るようにしています。
どちらの方法が良いというわけではないので、機会があったら両方の切りつけを試して食べてみてください。食感の違いでお寿司の味は変わるんだいうことが分かって、料理が面白くなるかもしれません。
ヒモは握ってもいいですし、キュウリと合わせてヒモきゅう巻きを作ってもおいしいと思います。
今回のYouTube動画
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