今年は暖冬なんて言われていましたが、11月も終わりに近づくにつれ、だいぶ寒くなってまいりました。
冬の訪れが近いという事でしょう。
先天的にDNAに刻まれているのか?後天的なイメージなのか、寒くなると、鍋やら、おでんやら、白子やら食べたくなる食材が増えてまいります。
その中でも蟹は冬を代表する食材の一つと言えましょう。
年末年始も蟹は食べたくなりますしね。
食用される蟹と言えば、渡り蟹や花咲蟹など多々ございますが、毛ガニ、ズワイガニ、タラバガニ(タラバガニは正確には蟹ではありません)の3種が頭一つ抜けて人気では無いでしょうか。
その中でも今回はズワイガニ、特にズワイガニの雌であるセコガニ(せいこ蟹)について書いてみようと思います。
セコガニ(せいこ蟹・コウバコ蟹)とは?
セコガニとは抱卵したズワイガニの雌のことです。
漁獲される地域により、せいこ蟹やコウバコ蟹、コッペ蟹と様々な呼び名がありますが、どれもズワイガニの雌であるという点で差はありません。
浜で茹でられ、冷蔵されて出荷される浜茹で、生きたまま出荷される活け物、茹でた後に冷凍されて出荷される冷凍物があります。
オスのズワイガニと違い、資源保護のため11月から1月の短い間しか漁が許されていないため、セコガニは一年のうちで約3ヶ月しか食べることが出来ません。(冷凍物が時期をずらして出荷される場合もございます。)
そんなセコガニの魅力は何と言っても卵でしょう。
蟹は体の内と外の2箇所に抱卵します。体の外、フンドシ部分の卵を外子、内側の蟹味噌の部分の卵を内子と呼びます。
内子と外子、そして蟹の身の味を楽しむことができる事がセコガニの魅力と言えるでしょう。
大きさもオスのズワイガニに比べて小さいため、家でも簡単に調理する事ができますので、下にセコガニの調理法を載せておきますので、ぜひ挑戦してみてください。
セコガニ(せいこ蟹・コウバコ蟹)は蒸すか茹でるか?
以前、蟹は蒸すか?茹でるか?という記事を書いておりますが、セコガニはズワイガニ同様に茹でて食べる事が一般的です。
蒸す方法もあるにはありますが、セコガニは何と言ってもその卵に魅力があるからです。
フンドシに抱卵するため、フンドシに塩をして、蒸す事で、身に塩を回すという方法は取れません。
蟹自体が持つ塩分も食べるには少し薄め。という事で、セコガニは一般的には蒸すよりも茹でて食べたほうが、美味しく食べる事が出来るというわけです。
と、言うわけで、私は、セコガニ(せいこ蟹)は蒸すより茹でて食べる事をオススメしております。
ちなみにセコガニ(せいこ蟹)の茹で方ですが、大きさにもよりけりですが、基本的には薄目の食塩水で水から茹でて、沸騰してから20分と言うのが目安と思ってください。
短すぎると身に灰汁が周り黒くなってしまいますし、火を入れすぎると蟹の旨味がスープとなって流れ落ちてしまうからです。
では、セコガニの茹で方を見ていきましょう。
セコガニ(香箱カニ)の目利きと茹で方
セコガニは写真のように生きた状態でも仕入れる事が可能です。
仕入れる際にはなるべく卵を多く持ったカニを仕入れたい所ですが、
茹でられた状態なら開いているはずのフンドシも、生きた状態では残念ながら閉じており卵は見えません。こればかりは経験に頼るほかないでしょうね。
無理やり開いてやれば卵も見えますが、こんな事すりゃカニが弱ってしまいます。次に買う人や仲卸の事も考えてやるのがマナーってもんでしょう。
それよりも見るべきは
このように足が折れたカニや
折れた足が再生した跡のあるカニでしょうね。
セコガニは1杯あたりの値段で売られている事が多いですから。
新鮮なセコガニを仕入れたら、早速茹でましょう。
薄めの食塩水を多めに準備し、鍋に蟹を入れます。
基本的にズワイガニにしても毛ガニにしても、蟹を茹でる際は写真のようにフンドシを上に向けて茹でましょう。カニミソが流れ出るのを少しでも抑えようというわけです。
このまま火にかけ沸騰させます。
グツグツと湯を沸かした状態で20分。20分経ったらセコガニを氷水につけ、その後はザルなどに上げて粗熱を取りましょう。
氷水からザルにあげる時は写真のようにフンドシを外して置きます。
粗熱を取る際にフンドシを外して写真のようにセコガニを置いておく事で、余分な水分が勝手に抜けていきます。フンドシにはセコガニの卵が付いていますが、写真のように下に向けておく事で卵の間の余分な水分も抜けていきます。
あとは捌いて食べるだけです。下にセコガニ(ズワイガニ)の捌き方を写真付きで載せておきますので、興味のある方はご覧ください。
どうしても蒸して食べてみたいという方は、蒸し器に入れて15分〜20分も蒸せば食べる事ができますので、ぜひ食べ比べてみてくださいませ。
セコガニ(ズワイガニ)の捌き方
さて茹で上がったセコガニ(ズワイガニ)を捌いていきましょう。
蟹を捌くと言うと少し難しく感じるかもしれませんが、手順さえ解れば難しい事はありません。
まずは甲羅を外しましょう。
フンドシに付いているオレンジ色の卵が外子です。
外子は白い繊維でフンドシに張り付いていますので、丁寧に外します。
力を入れすぎるとこの白い繊維が外子に残ってしまうので注意しましょう。
コツさえつかめば、このように綺麗に外す事ができます。
次に内子を取りましょう。
内子は甲羅と、本体の両方に残ります。いわゆる蟹味噌に当たる部分に見えるオレンジ色の卵が内子です。
甲羅と
本体、どちらも細いスプーンなどを使えば簡単に外す事ができます。
取り除いた外子と内子は別皿に取り置きましょう。
次に蟹の本体を捌きます。
この茶色い部分はガニと呼ばれる部位で蟹のエラにあたる部分です。食べても美味しくないので取り除きましょう。
手で簡単に取り外す事が出来ます。
次に本体から蟹の腕を外していきます。
このように掴んで、内側に押し込むようにすると骨ごと外す事ができます。
こうする事で、剥き身に骨が残らなくなります。
足の関節も同様に外しましょう。
反対側に押し込んでやると
このように骨を身に残す事なく引っこ抜く事が出来ます。
蟹の足はこのように、綿棒などで押し出す方法もありますし、
上だけ包丁で削ぐようにする方法もあれば、
横の殻を切断し、身を取り出す方法もあります。
お好きな方法で取り出してください。なお、包丁を使う場合は、蟹の表面で包丁が滑りやすいため、気をつけてください。速さだけなら綿棒で蟹足を潰しながら身を取り出す方法が早いと思います。
本体の蟹身は縦横、十字に包丁を入れ、蟹スプーンや箸などで取り出しましょう。
残った細い脚は半分に割って身を取り出しましょう。
ここまでで、画像のような状態になっているかと思います。
甲羅に内子と剥き身を詰めて
上には外子を敷き詰めても良いですし、
写真のように内子、外子、ほぐし身の順番に詰めても良いですね。
あとは向いた足で上から蓋をしてやれば
高級割烹顔負けの香箱ガニ(セコガニ・せいこ蟹)の出来上がり。
このまま食卓に出せばなんとも豪華な食卓になる事でしょう。
もちろんカニ酢で味を付けても美味しくいただく事が出来ます。
緑を添えてもまた良しです。
みなさまご自分のお好みの味付けでお召し上がりくださいませませ。