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コチの捌き方!刺身(薄造り)の作り方や【活け・活け締め・野締め・浜締め】の違いも解説

コチ(鯒)の捌き方と刺身の作り方(薄造り)を紹介します。コチの締め方や皮の剥ぎ方も解説します。

目次

コチとは

コチは、夏に旬を迎える白身の高級魚です。コチは比較的暖かい海にいる魚で、北海道などではほとんど水揚げがない魚です。千葉や三重で水揚げが多いです。タイやヒラメは夏になると、脂が抜けてどうしても味が落ちます。コチは夏場に旬を迎えるので、タイやヒラメがいない中で夏を代表する白身として、我々は結構重宝する魚です。

コチはメスのほうが大きくなります。オスは、比較的成長が小さい段階で止まります。なので、40㎝以上あるような魚体はだいたいメスの場合が多いです。昔は大きくなるとメスに変わる雌雄転換と思われていたらしいんですけど、最近オスの成長が止まるだけで性転換するわけではないとわかったようです。

コチは結構難しい漢字で「鯒」と書きます。この漢字は「踊る」からきています。コチが外敵にあったときに逃げる様が踊っているようだということで、魚へんに踊るでコチになったといわれています。

よく天ぷらで出てくる2つに裂けた天ぷらがあります。あれはネズミゴチという魚で、今回のコチとは別種の魚です。どっちも浅瀬の海底に住んでいます。たまにコチの胃袋を開くと、ネズミゴチが入っていたりするんですけれど、共食いをしているわけじゃなくて完全に別種の魚です。

コチの締め方

今回のコチは、市場で生きているものを締めてもらいました。頭と尻尾に包丁を入れて中骨を断ち切ることで、魚はストレスなく締まり、血も抜けます。

中骨を断ち切ったあとに、針金を背骨の真ん中に通します。針金を通すことで、神経が完全に抜けて、魚の死後硬直が緩やかになります。神経を抜かないと、半日も経つと身がゴワゴワになっちゃいます。神経を抜いて死後硬直を遅らせて、刺身で食べられる時間を長く保つようにしています。

活け・活け締め・野締め・浜締めの違い

魚は、流通の仕方で呼び方があります。生きている状態で市場に届いた魚は「活け(いけ)」といいます。だから中骨と尻尾に包丁を入れて、締めたものを「活け締め」といいます。定置網などの網にかかって死んだ状態で水揚げされたものは「野締め」といいます。

生きた状態で海辺の漁港に届いて、そこで締めてから出荷されたものは「浜締め(はまじめ)」と我々は呼びます。でもニュアンスが微妙で、漁港の人たちにとっては活け締めなので、活け締めで市場に並ぶこともあるんです。浜締めと活け締めは、地元の人と消費する我々とで若干使い方が違ったりします。

コチのさばき方

まずヒレをハサミで落とします。なぜヒレをハサミで落とすのかというと、ヒレをしっかり落としておかないと、細かくてびっしりついている鱗を金ダワシで取るときに、ひっかかってしまうからです。しっかりと根元から落としてください。背ビレも腹ビレも落とします。

コチには、エラブタの手前に結構鋭いトゲのような骨があります。危ないので落としてもいいですし、頭をつかむ時にサラシなどで掴んで作業をすると危なくありません。

鱗は、金ダワシでバリバリこすって落としていきます。

鱗が落とせたら、一旦水洗いしてさばいていきます。コチは、腹ビレの付け根に硬い骨が1枚入っています。なので腹ビレから包丁を入れます。

それから胸ビレにそって、頭を落とします。頭がはずせたら、ヘソから腹を裂いて内臓を取り出します。内臓を取り除いたら、血合いに軽く包丁を入れて、きれいに洗い流します。

コチのおろし方は、意外と人によって様々です。「大名おろし」といって、頭のほうからおろす人もいるし、「3枚おろし」で腹からおろす人もいます。

あとは、魚が細長くて安定しないので、身を立てて、上からおろす人もいます。

コチの3枚おろし

今回は、普通の3枚おろしでおろします。

活け締めの白身は結構弾力があって、包丁が跳ね返されるような感覚があります。なので、慣れて調節しながらでないと、うまくさばけません。

片側をおろせたら、反対側もおろしていきます。

3枚におろせたら、骨を抜きます。普通の魚は、アバラ骨を包丁でかいてから血合いの骨を抜きます。でも、コチはアバラ骨が腹側じゃなくて身に食い込んでいるので、先に骨を抜いてから腹膜をかきます。身が締まっていて結構骨が抜けづらいんですが、身をブチブチと引き離すようにすると、抜けやすいかな。

骨が抜けたら、腹膜を包丁でかきます。骨が入っていないので、なるべく薄く膜をかきます。コチは骨が残りやすいので、もし骨を見つけたら抜きます。

次に皮を引きます。コチ自体の皮は結構硬いので、そんなに難しくありません。ただ、コチは魚体が丸いので、ピタッと全体がまな板につきません。すると上半分だけ皮が残ったりします。そうしたらもう1回引くと、きれいに引けます。

どうしても背中やお腹に皮が残りやすいです。骨抜きでバリッとはがします。また、お腹側に骨が残っているようだったら、抜きます。

ここまでおろしたら、お刺身にするんですけれど、締めたての魚は味が出ていません。食感はいいんですけど、味は正直いってありません。タンパク質が分解されてアミノ酸になることで旨味に変わるので、半日~1日寝かせたほうが食感も旨味もあります。ペーパーで包んで、半日ほど冷蔵庫で寝かせて、身が落ち着いたらお刺身にします。

コチの刺身の盛り付け方

コチは繊維質が強くて歯ごたえがあるので、今回は薄造りにします。

お刺身は、いつも皮目を下にして切っていくことが多いですが、薄造りにする時は、皮目を上にして尻尾から切っていきます。尻尾はスジっぽいので、最初の1切れは刺身にせず、ブツ切りにでもして美味しく食べてください。

切る時は、包丁を根元から先まで大きく使って、なるべく薄く切ってください。

切れたら、身の先を畳んで、そのままの流れで器に盛っていきます。

カドをちょっとだけ立てると、きれいに盛れます。ちょっとずつ器を回転させながら盛りつけていくと、盛りやすいです。

最初の身は小さくて、中ほどの身は大きくなりやすいです。うまいこと調整しながら切っていくといいと思います。円を描くように盛ってもいいですし、途中から2重に重ねていってもいいです。

ある程度の枚数を盛って、スダチ・ミョウガ・万能ネギを添えて完成です。

今回のYouTube動画

今回の記事は動画でも紹介しております。ぜひ、ご参照くださいませ。

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