イナダ(鰍)のさばき方と簡単で美味しいおつまみをご紹介します。
イナダとは?
イナダというのは、ブリの子どもで出世魚です。出世魚は成長とともに呼び名が変わるので、関東の場合はワカシ、イナダ、ワラサ、ブリの順に呼び名が変わります。今回のイナダよりもうちょっと小さいとワカシです。大きくなるとワラサ、ブリと成長していきます。
関西では、ワカシ・イナダ・ワラサ・ブリのワラサにあたる部分をハマチと呼びます。ブリとハマチは、よくスーパーで見かけると思うんですけど、ブリとハマチは同じ魚です。同じ魚なんですけど、関東ではハマチというと養殖のブリのことを指す場合があります。過去の記事と動画で詳しくまとめていますので、ご参照くださいませ。
イナダはブリやハマチほど人気がある魚ではないので、結構安いです。今回のイナダなら、日によっては300~400円で買えちゃいます。板前さんにとっては、練習用の魚として扱われるので、若い修行時代を思い出すような魚であったりもします。
イナダのさばき方
ウロコの取り方
イナダは小さいので、ウロコは包丁でかくだけでも簡単に取れます。すき引きでウロコを取ってもいいです。ただ、イナダはウロコが結構弱いので、すき引きではなかなか完全にキレイには取れません。お好みでやりやすいほうでやってみたらいいかな。
頭側は比較的ウロコが厚いのできれいにつながってくるんですけど、腹側や尻尾側はウロコが薄めなのできれいには取れません。
イナダの頭の落とし方
全体にウロコが落とせたら、今度は頭を落とします。頭を落とす時は、まず腹ビレの位置から斜めに包丁を入れます。
次に、胸ビレから斜めに包丁を入れます。
反対側も同じように包丁を入れます。
ヘソの位置から包丁を入れて頭と内臓を取り外します。
内臓を取り出すと腹膜があるので、キズを入れて血合いをきれいに洗い流してください。
内臓と血合いがきれいに洗えたら、水気を拭き取って3枚におろしていきます。
イナダの三枚おろしのやり方
3枚におろす時は、頭を右に向けて上になった側の身からおろしていきます。これには理由があります。魚は基本的に、頭を左に向けた状態で並んでいるじゃないですか。そうすると、当然下側の身の傷みが早いんです。傷むのが早い身から先に使うために、頭を右に向けて上になった側の身からおろしていきます。
お腹側はヒレにそって包丁を入れます。
背中側は中骨を見つけたら、中骨にそって包丁を動かしていきます。
お腹と背中に包丁を入れたら、尻尾側にも包丁を入れて身をはずしていきます。お腹と背中に包丁がしっかり入っていれば、簡単に身がはずれます。
中骨のある身を裏返して、同様にさばいていきます。背中側と尻尾側に包丁を入れて、身と中骨をおろします。
身が3枚におろせました。中骨は、頭とカマと一緒にアラ汁を作ってもいいと思います。
逆さ包丁で、身についているアバラ骨をはずします。
アバラ骨を取っても腹膜がまだ残っているので、腹膜もはずします。そうすると、口の中に腹膜が残らないお刺身になります。
次は血合いをはずします。骨も何本か入っているので、骨を抜いてからおろす場合もあります。イナダの場合は血合いがしっかり入っているので、骨を抜かずに血合いと一緒に中骨を取りのぞきます。
次に皮を引いていきます。皮を引く時は、頭側からでも尻尾側からでも引きやすいほうで引いてください。
皮引きのコツは、包丁をしっかりまな板に押し付けるようにしてあげることと、左手で皮をしっかり引っ張ってあげることです。この2つをしっかり意識してやれば、難しいんですけど、皮に身が残っちゃうようなことは少なくなるのではないかな。
皮は銀皮という身の銀色を残すように引くんですけど、イナダの場合は銀皮がものすごく薄くてほとんど銀は残らない場合が多いです。
ブリや脂の強い魚は比較的銀皮がきれいに残るんですけど、イナダは淡泊で脂がほとんどのっていないので、銀皮を残して皮を引くのは難しいです。
イナダはうっすらと銀が残るかなというぐらいになります。ブリだと、結構きれいに銀が残ります。背中よりお腹のほうが脂がのっているので、お腹側のほうが銀色は比較的残りやすいです。
イナダの食べ方(おつまみの作り方)
お刺身にするならただ切ればいいんですけど、イナダの身は若干淡白すぎるという気がするので、今回は漬けにして、身の水分を抜いておつまみを作ります。
漬け地を作っていきます。漬け地の割合は、醤油・みりん・酒が、1:1:1です。今回は適当に目分量で入れちゃうんですけど、お店でやる場合は正確に量ったほうが良いと思います。
一旦沸かして、アルコールを飛ばして冷まします。普通に冷ましてもいいんですけど、急ぎの場合はボウルなどに移して氷水に付けるとすぐ冷えます。
漬け地にそのままイナダを漬けると、どうしても味が入りすぎちゃうので、一旦イナダをお湯に通して表面を固めてから漬け込みます。
湯引きは、鍋にひとつまみ塩を入れた薄い塩水で湯引きしてください。イナダを湯にサッと入れて2~3秒で表面が白くなります。そうしたらこれ以上、中に火が入らないように氷水に落とします。
漬ける前に、ペーパーなどでしっかり水分を拭き取ります。水分が入ると保存性が悪くなるのと、味が薄まるので、しっかりやっておいたほうがいいと思います。
先ほど作った漬け地を冷まして、上からかけて漬け込みます。
漬け込む時、どうしても浮いちゃうじゃないですか。浮く部分はなるべくないほうが、均等に漬けられるので、ボウルやタッパの大きさを気にしながら漬け込んでください。
上にペーパーを落として漬け込むと、味がしっかりまわります。この状態で半日ほど寝かせます。
イナダのおつまみの盛り付け方
半日たったらある程度しっかり漬かっていると思います。
漬かり具合は、魚の脂の乗り具合や使う調味料の塩分や糖分の濃度によって、若干差が出ます。何回かやって、慣れてください。
切って盛り付けていきます。
食べ方は普通にワサビ醤油で食べてもおいしいですが、今回は薬味をきかせて食べようと思います。多少厚めに切って、大葉を敷いて盛り付けて、白ネギをみじん切りにして添えます。
イナダは、風味や身質が比較的アジなどの青魚に近い感じがするので、ショウガも相性がいいんじゃないかなと思います。ショウガを細く切って添えます。
色が寂しいと思ったら、青ネギも添えます。
スダチなどの柑橘類も、もちろん相性がいいのでお好みでどうぞ。
今回のYouTube動画
今回の記事は動画でも紹介しております。ぜひ、ご参照くださいませ。